nt708

夕霧花園のnt708のネタバレレビュー・内容・結末

夕霧花園(2019年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

またひとつ好きな映画が増えた。

日本庭園のような孤独と美を感じさせる本作。戦争が終わり、主人公が愛した男は自らと自らの妹が連行された収容所を作る手引きをした日本人庭師だった。その事実を知ったときの彼女の得も言われぬ表情、、最愛の妹を亡くした悲しみと憎しみと、、同時に彼を今も愛さずにはいられない彼女の姿に涙が止まらない。

個人的には有朋がユンリンの妹のアイデアを実現しようと庭園に灯篭を加えるシーン、、ユンリンが「You don’t have to...」と言ったのに対して無言で作業に取り掛かる有朋の姿に「I don’t have to, but I want to」と言っているかのような優しさを感じた。彼もまた本気でユンリンのことを愛していたのだろう。

こういう純文学的な作品、、ミステリーあり、ラブロマンスあり、ヒューマンドラマに政治ドラマありと、ジャンルに囚われない人生をまるまる描いたような作品がもっと作られることを期待したい。自然のように混沌とした世の中だからこそ、制御し、ひとつの秩序として世の中を切り取ることこそ、今の映画界に求められているのかもしれない、、
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