ククレ

still darkのククレのネタバレレビュー・内容・結末

still dark(2019年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

題名と写真だけ見て「悲惨な展開になるドラマ」と誤解していた。これはとてもポジティブな青春映画!
40分の短編だし、淡々としていて演出も控えめで大きな感動はないけど、見直してみると登場人物のキャラも立ってるし、伏線もしっかりあるし、テーマもよく伝わる。障がいがあっても特別扱いはしないで、対等に関わる姿がとても清々しい。
監督、脚本、主演の高橋雄祐さん、スゴイ!

以下はネタバレ…



 


ユウキの真面目なひたむきさと、ケンタの天真爛漫な明るさがとても心地よい。たとえ目が見えなくても、同じパスタに魅せられて働き始めた同い年の戦友であり、互いに励まし合っている姿に温かい気持ちになる。

強面の料理長もたまに見せる笑顔がええなぁ。厳しいけど根はいい人なのがよくわかる。視覚障がい者を門前払いせずに雇うのだから、それだけですごい。

ユウキの働きぶりは危なっかしくて手間も時間がかかるから「この仕事は無理ではないか?」と感じてしまう。でも、料理長はハードルを下げない。ここで変に落ち込んだりする展開にならないのがよかった。ひたすらに練習練習!失敗してもケンタが「もったいねー」って明るく笑い飛ばしてくれるから、ずっと前向きでいられる。

パスタの試験で、パセリを入れ忘れているのを二人でじ~っと待ってるのが面白いな。見かねたケンタが慌てて入れて、料理長が帽子を叩くのも面白いな。その後、ケンタの帽子は目深になったままで表情がわからない。でも、二人の食べ方を見ると、パスタが美味しいのは言うまでもない。結果は…?

ラスト、ドアを叩く前に履歴書を出すところで、冒頭の面接の伏線が活きてくる。多くを語らずに結果を分からせる上手い演出やね。ハッピーエンドではないけど、希望を感じられるラストカット。

だから、題名は「still dark」ではないほうがよかったかも…。明るい明日が見えてきてるんやから。「夜明け前が一番暗い」ということかな?
ククレ

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