えむ

シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!のえむのレビュー・感想・評価

3.8
偉大なる傑作は、縁と偶然と無茶ぶりで創られる。
そんな過程を描いたフランス的なエスプリ効いたコミカルさをもつ作品。

パリのもつアートっぽい空気感や、劇場シーンや演劇俳優キャラが多いせいなのか、この映画そのものが喜劇的で演劇的な感じで、この映画を演劇版として観ても凄く面白そうだなと観ながら思ってました。

でも、これって現代でもありそう。
視聴率気にするあまり流行りのものを派手に作れとプロデューサーに無茶振りをされる。SNSでの視聴者の評判をチェックしたスポンサーの意向で脚本書き換え要求される。役者のご機嫌取るのに美味しい場面書く。
振り回されては必死になってるうちに、結果大ヒット作が生まれる、そんな話ありそうだし、制作の現場や名作の誕生なんて結構火事場の馬鹿力みたいなものなのかもしれない。
(むしろ、現代の制作への皮肉もあるんじゃ?)

周りに引っ張られて、埋もれてたポテンシャルが開花していく、バラバラな個性がだんだんチームになっていくのは観ていて気持ち良いし、最後の最後は大好きな悲劇で終わらせて、しっかり客の喝采は浴びられたし。
でもマリアは、ちょっと可哀想だったな…

要所要所で良い仕事するカフェの主人が凄く好き。このキャラが入ることで、ドタバタした中にキュッと引き締まった抑揚が出て良かったと思います。
えむ

えむ