真田ピロシキ

映像研には手を出すな!の真田ピロシキのレビュー・感想・評価

映像研には手を出すな!(2020年製作の映画)
3.2
実写版しか見ていないのならもう少し良い評価になるのだが、昨日素晴らしいアニメ版を見終えたばかりなのでどうしても。実写版オンリーだとしても疑問なのは冒頭20分もドラマの総集編に費やす事でテンポは悪いし羅生門をパロった語り手の説明口調も過剰で、いくらこれがTVドラマの映画化という分かりやすさを求められる作品にしても観客を侮りすぎてはいないか。大体ドラマは全部見ても3時間くらいだからそこは予習してもらえよ。

やっと本編に入ってロボ研との共同製作アニメを文化祭に向けて準備する流れは概ねアニメと一緒。だけど独自要素で浅草氏と水崎氏が金森氏に代わって生徒会に金の無心しにいくのだけれど、それが初めてのお使いパロディでこれ面白い?何か映画と言うより乃木坂が出てるバラエティ番組を見ているようで寒く、しかもこれもテンポが悪くてそのせいで映像研第4のメンバーと言える百目鬼氏が出るまで1時間超えてる。それと昨日アニメの方で書いた事だけれど、意外にも実写版の方がアニメよりずっと誇張されており全体的に演出が過剰で、その割に話は高校生が納期を守りつつ自分のアニメを作る大変さや親と子供の望みの乖離など地道なものなので所々噛み合ってなく思えたり。これが次の話までやっていたならば実写映えしそうなロケハンのシーンなど盛り込めてもう少し映画全体の印象も変わったと思うんだけどね。あとこれはドラマの方でも書いたことだけれど完成品はもう少し見せて欲しい。徹夜までした努力の賜物でしかも水崎氏両親を前に隠そうとした浅草氏に感謝しながら水崎氏自身が両親を説得するため自ら発表した色んな思いが詰まった作品なのだからこちら側にも共有させるべきでしょう。どうにもアニメを題材にしてる割にアニメの力を軽んじている気がする。

ソワンデの好敵手感は良い。アニメの方ではソワンデ以外あまり印象に残らなかった生徒会だが、こっちはキャラ立ちを強くされているので記憶に残る。全体的に過剰な世界の中では彼女らは割と普通の部類で濃すぎもしない。ラストを「いえ仲間です」で締めたのはとても良い。演じる3人が皆乃木坂46な事を思うとその意味がより強く思えるかも。