真田ピロシキ

白頭山大噴火の真田ピロシキのレビュー・感想・評価

白頭山大噴火(2019年製作の映画)
3.0
今年の映画初めは去年に続いてマブリー映画。あけマブリーおめでとうございますです。しかしこの映画は予感していた通り、非常にエメリッヒくさい。開始5分で始まる大倒壊ショーは所々CGの粗さが鼻についてた『新感染半島』に比べるとずっと良くなっているが、この手の映画にもう興味がなくてハリウッド映画から離れてるのに韓国発でこんなのを見せられても、韓国の映画産業の隆盛は感じ取れるが楽しくはない。退屈で途中居眠りしてた程。それでもエメリッヒのたくさん虐殺することに全身全霊を傾けてるようなディザスター映画に比べればマシな方で、物語では北朝鮮非核化が間近に迫っていたり、非常時にアメリカと中国に挟まれた韓国の難しい政治的立場が描かれていて、災害よりそういう描写の方が多いのがハリウッド製ディザスター映画との違い。『シン・ゴジラ』と趣が近いかもしれない。しかし主人公部隊と在韓米軍が交戦するのは日本の映画からは発想すら生まれなさそうだ。米軍は半島避難時にも否定的に描かれていて、こういう気概があるのは羨ましいものだなあ。米軍の言いなりで今コロナの再流行を許そうとしている我が国と違う。

主人公のチョ・インチャン大尉(ハ・ジョンウ)は腰抜け野郎と言われるくらい迫力を感じさせない男で、率いる部下も当初とても国の命運が賭けられた特殊部隊とは思えないくらい素人臭く、歴戦のスパイであるリ・ジュンピョン(イ・ビョンホン)にはいいように翻弄されている。それが共通点をきっかけに北と南の垣根を超えてバディとなっていくのは懐かしい『シュリ』を思い出させる伝統であるし、先に言った冒頭の非核化が表すように韓国の悲願である北と南の融和が込められてて、類似のバディものよりも強い意味を感じさせる。そんな映画で北朝鮮兵と交戦するシーンは1箇所しかなかったので気は使っていると思ったが、やはり北のお偉方の機嫌は損ねたようだ。『チェオクの剣』にハマっているジュンピョンみたいなのは実際の北朝鮮であるのかな。かつて韓国でも日本文化を禁止されてた歴史がある訳で、今や文化輸出国となった韓国にはカルチャーパワーに思うところがあるのだろう。そういう意味でも今の韓国を切り抜いている。お目当てのマブリーは今回は一切暴力に頼らないインテリ役で、拳でドアを凹ませるどころか引き出しを開けることができずに女の人に開けてもらう役どころ。今回もガタイは相変わらずなのでそのギャップに萌えろ!