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カサブランカのearlgreyのレビュー・感想・評価

カサブランカ(1942年製作の映画)
2.5
 終盤、二人を送り出す心を決めたリックはイルザに「君は彼(ラズロ)の一部だ」と言った。
 それに対し、リック自身は恋が燃え上がっていた当初から最後まで一貫して「君の瞳に乾杯(Here's looking at you, kid.)」なんだよね。
 リックはどうあっても彼女とひとつにはなれず、見つめているだけの運命が示唆されていたのかなと思った。
 刹那的な、熱情では愛を誓い合いながらもナチス侵略でいつ壊れてもおかしくないことをどこか知っているような、期間限定だから成立した恋だったのかもしれない。

 リックってもともとアメリカ人なんだよね。彼はなぜフランスにいるのか。なぜカフェアメリカンを開いたのか。
 彼の大義ってなんだったのかな。この映画だけだとちょっと、わかるようでわからなかった。ルノー署長との間の絆の正体もね。

「昨日はどこに?」「そんな昔のことは覚えてない」
「今夜会える?」「そんな先のことは分からない」
 このあしらい方には、リックの生き様が見える気がする。
 刹那的な恋が突然終わりを迎え、それを引きずったままカサブランカの街で「今」だけを見据えて生きる彼の人生が。
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