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ブライトン ミラクルのミートのレビュー・感想・評価

ブライトン ミラクル(2019年製作の映画)
5.0
正直言って、再現ドラマやドキュメントの枠を超えないと思う。でも、元ラガーのおいらにとって、このドキュメンタリーはもう号泣レベルなので、点数は甘々(笑)。やはり日本のラグビーのレベルを上げてくれたということで、エディー・ジョーンズの功績は非常に大きい。

大体、それまでは日本ラグビー界にとってワールドカップ出場が「遠足」「飲み会」だったわけなんで(いや、ホント。他の国の選手が酒断ちしているなかで二日酔いしてちゃ勝てるわけない。)、その日本が南アフリカに勝つということは、皆さん、本当にあり得ないレベルのことなんすよ。

この映画を観ると、ジェイミー・ジョセフはエディーの遺産で食っていたということがよくわかる。あるラグビー関係者から聞いた話では、ジェイミーは自分が気に入らないことがあると絶対に選手として出さない人らしい。今回2023年のワールドカップで田村優や山澤、山中(途中で再招集されたけどね)が選ばれなかった理由は「闇」すぎて嫌になる。僕はエディーは好きだけど、ジェイミーは大っ嫌い。今回決勝リーグに進めなかった理由はひとえにジェイミーのせい。彼はエディーの遺産食いつぶして、逆に衰退させちゃったのよ。

下に貼ったのは、当時ロックとして出た真壁と廣瀬の対談の動画。この中で真壁が「しんどいことは正直覚えていなくて、楽しかった。」と言っているんだけど、やっぱりそんなものだろうし、その笑顔に泣けてきちゃう。真壁は底抜けに明るくてタフなので、色々なところで(大野)均ちゃんとともに2015年のワールドカップを本当に冷静に振り返っているよね。身体のタフさがないとエディーのコーチングには耐えられなかったと思うし、その点、そこまでタフではなかった五郎丸や廣瀬はとても複雑な、そして辛い思いをしながら頑張っていたのだろうと思う。
https://www.youtube.com/watch?v=DIOpHbmCN-4

それが証拠に、劇中の本人登場シーンで五郎丸と廣瀬の表情はずっと固い。五郎丸はその後もいろいろなところで「二度と経験したくない。」みたいなことを言っているのは周知の事実。また、僕自身、エディーは(頭のいい)廣瀬を利用したのかと思っていたんだけど、そうではなく本心では「年寄り(=廣瀬のことね)」を外したかったのだということを理解できた。廣瀬はすべてをわかったうえで、試合に出られないキャプテンを演じ続けたし、その後も日本ラグビーのために貢献し続けているんだよね。同時に思い出すのは、池井戸潤の「ノーサイドゲーム」だけど、その中での廣瀬の役どころ(浜畑ね。)は、まあ日本代表の中での廣瀬そのままだもんね。

名匠クリント・イーストウッドの「インビクタス」には遠く及ばないけれど、日本ラグビーの歴史を語るうえで、エディーの下でコーチをしていたマックス・マニックスが、オーストラリア映画としてこの作品を残してくれた功績は本当に大きい。

とにかく、ラグビー界の中での日本の立ち位置の変化やオーストラリアのアジア人に対する人種差別のことなど本当に多くのことを学べるので、おすすめ。
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