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すばらしき世界のaizvvのネタバレレビュー・内容・結末

すばらしき世界(2021年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

すっごく良かった。
前半は結構面白くて、しょうがないなって笑っちゃったりしたけど、だんだん苦しくてあったかくて冷たくてエンドロール全部見終わっても引きずって涙出てしまうほどだった。


役所広司の凄さを素晴らしさを初めてとことん思い知った映画だった。
たとえ映画が面白く無くてもこの人の芝居だけでも見たいと思う様な。ドキュメンタリーを見ているかのように、彼が生きている感じがする。
人間描写が深すぎる。見せかけで猫を被っている感じも、彼の中から出てくる恐さも嘘がない様に見えるのが凄い。


この映画だって現実からしたら綺麗事だと思うけど、でも社会って何で厳しいんだろう。それでも暖かくて、でもやっぱりとてつもなく冷たくて。
だけど、キムラ緑子の言った「シャバは我慢の連続と言いますよ。我慢のわりに大して面白くもなか。だけど空が広いち言いますよ。」って台詞が刺さった。
恵まれていることに目を向けたい。

みんな自分が1番、自分のことで精一杯だけど、人を助けることは自分を助けることに繋がる、でも余裕がないことばかりで、そこまでいけないんだよな。

社会で立派に生きてる人が、本当に立派とは限らない。視点によっても変わる。
純粋すぎる人や、、いろんな人にとって社会は生きづらい。自分たちで作っているのにね。でも社会から逃れては生きられない。生きづらくても頑張って生きてる。
「ばってん死ぬわけにもいかんけん」


多くの人が温かい部分も冷たい部分も、違う人から見れば同じ部分でも違う様に感じるところを持ってる。
ケースワーカーの人も店長も弁護士も。ディレクターも。
それでもこの映画内ではしっかり働いて、最後泣いてくれる人もいて、良かった。

介護施設でよく我慢したと思った。
ずっと違う生き方をしてきて、我慢したことが彼自身辛くならないかと心配したけど。
ただ単に虐めてたんではなくて理由があったからまだ良かったけど(嘘かもしれないし、ど突くのはだめだけど)、でもその後のバカに仕方は絶対に良くなかったからね。そこをさ、我慢できて良かったと思ったけど、良かったと思って良いのかなって。それを良かったって思う社会って、、ね。 似てますねって笑えた三上は成長したんだろうけど、それを成長という世間自体はどうなんだろうと考えてしまった。

でも映画だから感情移入して介護施設でよく我慢したなって、でもなって、三神も泣いててその後コスモスもらって、、そこから映画終わってもずっと泣いてしまったけど。
実際現実だったらな。こんな温かい人にはなれないと思うし、でも自分も社会の冷たさを感じるし、三上は過去の罪を反省しているわけでは無かったし。(事情は確かにあったけど)
難しい。けど、1人の生き様が役所広司だから凄く入ってきた。
これから空の広さを感じることが多くなるかもしれない。

2023.03.27 Amazonプライム


追記
これ実話だったのか、、、、
「素晴らしき世界」か。
いつか小説を読もう。


ここまで高評価になったのは自分に刺さるタイミングだったというのもあるかもしれない。



歯を噛み締めるほど泣いたのは多分初めてだ。ものすごく心に刺さって響いてしまった。
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