Yukenz

ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像のYukenzのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

中々に暗くて不安要素の多い設定のため、 見ていて心躍る作品ではないのだが、最後のオラヴィの手紙が全てを清算してくれたかなと。

そこにたどり着くまでにはそれなりの障壁や葛藤があるが、父と娘そして娘の子の三者の拗れた関係がようやく一つに繋がることができた。

仕事に対して興味を持てず、不真面目で無責任に振る舞っていた少年オットーが祖父オラヴィとの関わりから徐々に物事の価値や真理に気づき、前を見るようになる。

一方、初めはオットーを邪険に扱っていたオラヴィも、孫との交流から少年が心根に持ち合わせる優しさや一本木気質の片鱗を引き出すことになり、やがてはその孫の言動に触れる事で自らの意固地で思いやりのない態度を悔い改めるようになる。

もう一つ、商売で利益を出したりライバルを蹴落とす為に、平気で人を騙すような嫌な奴も世の中には確かに存在する訳で、無邪気に人を信用すると痛い目に遭いかねない。こんな教訓は大事。
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