Shin

ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像のShinのレビュー・感想・評価

3.9
試写会で鑑賞しました。ありがとうございました。

まず前提として、本作は名画の謎を解くミステリーではなく、主人公である年老いた美術商オラヴィと家族の物語を描いたヒューマンドラマです。
またタイトルにもなっているオークションでの勝負も転機でしかありません。その後も話は続いていきますよ。

上映時間は95分とあって、序盤はあまり人物描写もなくサクサクと話が進んでいきます。テンポ感があるのは良いのですが、もう少しキャラクターの背景を掘り下げれば、ドラマに厚みが加わったのになとは思いました。

それでもオラヴィと疎遠だった孫のオットーが絵を通じて心を通わせていく姿が微笑ましいです。
オラヴィは何としても絵を手に入れる為、金策に走るのですが。オットーを使ってまで、もう笑ってしまうくらい必死でして。でもここで挽回して家族に認めてもらいたいという気持ちはわかるので全然憎めません。

ポスタービジュアルにある老人と幼子の絵のごとく、人生をまっとうしてきた者とこれからの未来に進んで行く者の絆が描かれた素敵な作品でした。
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