ShinMakita

花束みたいな恋をしたのShinMakitaのレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
3.7
2014年。終電を逃したことで偶然出会った大学生、麦くんと絹ちゃん。深夜営業の喫茶店で押井守を見かけたことから話が弾み、好きな音楽・本・映画に至るまで全く一緒という奇跡に喜ぶ2人。交際をスタートさせ、同棲に至って楽しい日々を送る麦と絹だったが、4年も経つと、やがて価値観のズレが露わになっていき…

という「花束みたいな恋をした」を観た。


以下、こういうネタバレは頻繁にしたいほうです。

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現代若者のリアルな恋愛を描き、共感度がかなり高い作品…ということですが、これは全世代に刺さる映画ですよ。麦の変化も絹の不変も、どちらも正しいから切ないですよね。カルチャーの固有名詞も、単なる時代イコンや若者迎合ネタとしてではなく、きちんと小道具として機能してます。さらにセリフやシチュエーションがブーメラン化するのが脚本の巧いところ。

大学時代、彼女と半同棲していたことを思い出した。彼女は売れないピアニストで、こちらは試験勉強。どちらも家にいる時間が多いから、一緒に漫画読んだりメシ作ったりLD見たりして過ごしてたなあ。お互いの環境の変化で別れたけど、確かにあの時はときめいていたし、結婚の二文字も意識はしていたよな。20年後、偶然にうちのクリニックの前でバッタリ会った時は、挨拶しか出来なかった。恋愛は始まりがあって終わりがあるのは自明の理。でも終わりは決してバッドエンドじゃないんです。だって人生は続くのだから。

ただ、本作の麦と絹には、正直結婚して欲しかったなぁ……後半、ジョナサンのシーンでガチ泣きしながら過去を振り返り、そう願った48歳〈再来月49歳〉のオッさんなのでした。
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