あるバナナ

花束みたいな恋をしたのあるバナナのレビュー・感想・評価

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)
3.2
恋愛映画なので展開的な驚きではなく、如何に演出や人物描写に心をざわざわさせられたかが大事だと思いますが、その点でこの映画は一級品だったと思う。
やめてくれ坂元裕二、俺の頭の中をスクリーンに映すな。

二人が若いときは、二人の感性が何だか恥ずかしく思えてしまって、終始ムズムズしてた。
内容がある風に、全く中身のないことを語っていたり、ちょくちょくモノローグの考えが飛躍してしまっていたり……。
視野が狭く、自己中心的で、考えに固執してしまっていた自分の学生時代が思い出される。

就職後の麦の状態、娯楽を楽しむのにも面倒くささを感じて、ソシャゲしかやる気しない状態っていうのが、完全に就職後数年間の自分で、これも観ていて苦しかった。
絹に当たっちゃってたこともあるけど、その時に出来る精一杯の優しさを絞り出してたんだよな麦は。絹もそれを分かっていたように思う。

最後、別れ話のときに、絹が「楽しかった思い出だけを覚えていよう」的なことを言っていたけど、これがタイトルにある「花束みたいな恋」を表しているのだろう。
色々な種類の綺麗な花を合わせて作る花束を、自分たちの恋と重ね合わせた恋。
二人はきっと、いい恋をしたなと思っているはず。
そう思えたから、寂しい結末だったけど、不思議と爽快感はあった。
あるバナナ

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