ピポサル2021
相次ぐ少年失踪事件の捜査を担当する刑事とその家族を取り囲む異変の正体とは??
デヴィッド・ロバート・ミッチェルまたはヨルゴス・ランティモス監督作品を彷彿とさせるじんわりと動くカメラや、意味ありげな一点透視構図、余白にヌケ、さらには天啓的空撮など、引き出しを全開放して観客を煽りまくる序盤のカメラワークパターンの豊富さは、言い換えれば”演出プランのなさ”としても捉えられかねないんだけど、コトの全容が開示され、そのプランのなさが実は意図的なものだったことが分かるという仕掛けがドエレーCOOOLな訳だす。
早い段階でどんでん返しを見せちゃう作品は割とよくあるけど、今作はそこからさらにひと工夫があって、ターン制の主導権握り合いバトルに新鮮味を感じました。
脚本のギミックやオチの付け方もめちゃくちゃ自然で背伸びしない姿勢にも大変好感が持てます。というか批判する要素がほとんど見当たらないくらいの良作でした。『13の選択』の脚本家ならそりゃ面白い訳やわ。
敢えてマイナス要素を挙げるなら、あのマスクがピポサルにしか見えなくてサルゲッチュのトラウマが甦ってしまった点です。しかしこれも個人的な問題なので不問に付します。