好き勝手なてそ

フロッグの好き勝手なてそのレビュー・感想・評価

フロッグ(2019年製作の映画)
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■あらすじ
ある町で少年の失踪事件が相次いでいた。
一方、この事件の担当になった警官グレッグの家では、妻の不倫をきっかけに家庭不和が起きており、さらに不可解な現象が起こるようになるーーという話。

失踪事件もグレッグ家の現象も、
悪霊的な見えない存在によるものなのか人間によるものなのかもしばらく全く読めない。
あえて何系か調べないで鑑賞したほうが楽しめそう。

■ざっくり感想
ツッコミどころもあるけど、100分未満でこの仕掛けの脚本を作ってそこそこ面白いの作れるっていうのはすごいと純粋に思ってしまった。

U-NEXTの紹介文に、「開始45分、その恐怖は快感に」とあるけど、
個人的には別の方向に進む期待を少ししていたので、正直一瞬は快感よりややがっかりがあった。でも耐えてそのまま観続けていたらだんだんまた展開が面白くなったので、
触りだけ見てみようと考えてる方は、とにかく耐えて45分超えはしてみてほしい。

ネタバレあり感想は以下に書きます。



ーー以下ネタバレ含みますーー


■45分の長ーい伏線回収
ストーリーは大きく2つ(3つかも)のパートに分かれており、同じ時系列を別視点で繰り返すことにより、真相が見えてくる。
2番目のパートは邦題「フロッグ」のタイトル回収でもあるフロッギング中の2人の視点になり、1番目のパートでのハーパー一家のような陰鬱とした雰囲気とはうってかわり、なんとも軽々しい自由な若者2人の空気感になる。
こういう、別の視点で雰囲気を変えて同じシーンを映し直す、ながーい伏線回収の構成って、他にどこかで見たような…と思い返すと、
「カメラを止めるな!」が近いなと思いました。この作品、カメ止め方式だ。
(カメ止めも、とりあえず我慢して観続けろ的に言われてた気がする)

カメ止めはコメディ寄りだし、伏線の量が多いので快感かもだけど、
今作の方はしっかりサスペンスになるので、グレッグの素性がわかった瞬間は快感というよりは恐怖で息を呑んだ。


■観客を錯乱させるためのキャラ設定
1パート目 45分の伏線パートにおいて、妻のジャッキーというキャラクターはとにかく不可解で気持ちが悪かった。

不倫をして息子にもバレてるくせに、指摘されると謝らず、それどころか論点や話題をすり替えて質問返しをしたりする。全く誠意の見えない反応。
実は不倫なんてしてないという展開なのかとすら思い始めていたら、なんと今度は不倫相手が玄関に堂々と来てしまう。
普通に不倫してたことも驚愕だし、別れてなかったのもびっくり。
相手は不倫相手の家に昼間から平気で来ちゃうようなイカれ相手だし(妻子持ちだと知らない?まさか)、ジャッキーという女は医者(しかもカウンセラー?)のわりにプライベートひどすぎて、この設定が今後のストーリーにどう関連してくるんだろう?と思っていたら…
なんと…何もない…だと??

頭を打った不倫相手を地下に匿ったのも意味不明だった。
息子コナーがやったとしても、そのまま死んだらさらにまずいわけだし、普通あの感じは救急車呼ぶだろ…。

わざとヤバい奴だという設定にして、この話は母親の不倫騒ぎを軸にして何かが起こると思わせたかったのかなと思った。
ただ結末としては、ただグレッグがヤバイ奴で妻の不倫なんか実は何の関係もなかったかもしれないと思うと、ジャッキーの不倫と関連した背景とかがもうひと捻りあったらよかったなぁと思う。


カエルのマスク見つけたときもスルーすな!って思ったし、
最後もジャッキーが真相を知ったときの反応も薄すぎて一番よくわからなかったし、このキャラだけは本当に何を感情が謎すぎて不気味だった。
なんなら、ジャッキーがもし自分の身近な人だったら、ちょっと何かの病気なんじゃないかって心配する。


■緑のナイフを残す意味
グレッグはかつての自分の罪を、別の男になすりつけ(冤罪)ようとして刑務所まで送り込んだはずなのに、なぜ緑のナイフをわざわざ現場に残そうとしたのか。
冤罪が控訴によってくつがえるかもと危惧して、いっそ他に真犯人がいることにして、またあらたに擦り付けようとしたのかな?
最初のジャスティンを誘拐したときは、誰に擦り付けるか決めてなかったと思うけど、フロッギングされてることを知ってからはフロッグ男のアレック登場により即座に標的を切り替えたのかも…
…となると、アレックによって息子コナーが襲われたりしたイベントは、もはやグレッグにとってラッキーチャンスだったのだ。
地味に一番そこが怖いかもしれない。

■グレッグが誘拐した目的は?
9歳10歳の少年ばかり誘拐する…というのは、やはりそういう性癖なのかな?
そのあたりの説明がされてなかった気がするが、時間を長くしてもいいからもう少し描写してほしかった。