[青白い曇天に生まれた"太陽"]　50点

子供を売りに来たポーランド人の少女レナ、彼女の世話をするイタリア人の少年エルマンノ。彼らの交流は言葉も少なく、太陽という題名に反して天気は基本曇天で画面も青白い。この手の物語にしてはひたすらドライなのが良いし、ドライに見せかけてレナの赤子への想いとエルマンノのレナへの想いがしっかり渦巻いているのが更に良い。それが隠し通した感情が滲み出る感動的なラストに直結している。パチンカスのエルマンノに釣られてレナもパチンカスになってるのには爆笑した。丁寧な伏線回収お疲れさまです。

• #2021ofOdessa
• #劇場鑑賞2021ofOdessa

若い妊婦レナの強かさの奥に仕舞い込まれていた感情の表出を見せるラストが素晴らしい。彼女を監視し面倒を見ていくエルマンノの内面が少しずつ変容していく描写も繊細。狭い画角の中に収められたスタイリッシュでクールな構図のショットも多く魅了された。

父性の芽生えとその成長を経て生まれる男の恋愛感情を見る思いに、とても新鮮さを感じた。スロットに纏わるエピソードも実に巧み。カルロ・シローニ監督はこれがデビュー作というから驚く。数々の受賞も納得。

• #イタリア映画祭2021

イタリア映画祭にて。

偽装シングルファザーとして叔父の養子縁組を成立させようとするうちに芽生える感情の機微を描いてるようだった。

自堕落な生活を送る若者だエルマンノは叔父のためにポーランド移民のレナの子供のシングルファザーのふりをすることに。

なんでこんな回りくどいことを？と思うのだけど、赤ちゃんの人身売買を合法的な養子縁組にするためなんだな。
移民の事情、代理出産の禁止、子供を望む夫婦の切なる願いが重なったゆえ。

そうはいうものの、やはり情は沸いてくるだろう。レナとエルマンノの間、レナと子供を間に芽生えた感情はそう簡単に割りきれるものではない。

叔父に逆らうこともできず、かといって自分が子供を養う力はなく、エルマンノに父性が芽生えてもどうにもできないジレンマが、言葉少なくとも伝わってくる。
厳しい選択をしなければならない急造カップルの姿があった。