さいとう

ミッドナイトスワンのさいとうのレビュー・感想・評価

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)
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色々思うことがあり、うまく感想がまとめられず鑑賞から1週間経った後の投稿。
1週間経ってもズシンと重さを感じる作品だった。

それぞれがそれぞれの方法で孤独、不安、理不尽さへの怒り…沢山の気持ちに蓋をしようとするけど、それは決して「大丈夫」な訳ではない。

でも、そこに「対象」ができたとき、世界は少し変わるのかもしれない。
周りが何と言おうと、どんな形であろうと、刹那的でも、破滅しかなくても、そこには確かに愛があると思う。

ラストシーン、一果がコンクールに向かう後ろ姿はトレンチコートにヒールで歩く凪沙さんにそっくり。
あの回想の賛否分かれるだろうけど、一果の未来にも凪沙さんが”母“として存在していて、救われた。

大きすぎる1歩を踏み出しても、現実はその後に明るい未来だけが待っている訳ではない。
痛みと悲しみがこれでもかと叫ばれていたけれど、それにかき消されないくらい愛が存在していた映画だったと思う。


一果役の服部樹咲ちゃんの踊る姿、気だるそうだけど強い意志を感じさせる眼差しとか、とんでも魅力的すぎて「発掘したの凄すぎ」って思ってたら、内田監督って「全裸監督」の人で納得。
森田望未さんも抜擢していて、新人発掘がすごい。

あと、脇を支える俳優達がとっても魅力的。
みづき、凛、一果の母(水川あさみ)、それぞれが主役で映画一本撮れそうなくらい。

それにしても、水川あさみって何であんなにヤンママが似合うんだろうか…

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新宿のショーパブでダンサーとして働くトランスジェンダーの凪沙。ひょんなことから凪沙は育児放棄を受けている一果を預かることになる。最初は心を開いていなかった2人だが、互いの“孤独“に触れることで関係は変化していく。一果はバレエの才能を開花させ、凪沙は一果の“母“になりたいと思い始める。