ミシンそば

ミッドナイトスワンのミシンそばのネタバレレビュー・内容・結末

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

高評価につられて観てみた映画。題材的に気軽に観れるものではないなと思いつつの鑑賞。凄い映画だとは思ったが、気持ちのいい映画ではとてもなかった。

前半はただひたすら痛々しく、主人公がトラウマを客の前で何気なく切り売りする場面が特につらく感じられた。
ヒロイン(新人とはとても思えない!)もストレスを感じると腕を噛む自傷癖が描かれ、どうしようもない孤独と閉塞感。
中盤にかけて、ヒロインの友達があることから急速に心を病んでいき、自殺するシーンから孤独の臭いよりも死の臭いの方が強く立ち込めはじめ、死亡フラグではなく「死」そのものって見えるんだな、と恐ろしくもなり、エンドロールが終わるその瞬間まで消えることはなかった。

痛々しく、辛いシーンも多いが、まくし立てるような激しいピアノ音楽や、草彅剛の静かなる熱演、そして彼を前にして新人ながら絶妙な演技を見せた服部樹咲(物語が進む度にバレエが上手くなり、表情に色を得ていく様がマジで伝わってくる)が凄すぎた。

恐らく自分はLGBTQを差別することこそしないが、奇異の目を向けるだったり、あちらの意を汲む動作も能動的には行わないだろう。
だが、恥ずかしながら自分も孤独であるという自負を持っている。
その点だけは理解……できるだろうか。自信はない。