白熊のヨゥ

アントマン&ワスプ:クアントマニアの白熊のヨゥのレビュー・感想・評価

4.5
 「小さな者と大きな者の戦い」というのは、前2作品におけるテーマの一つだと思うのですが、何よりも娘を想い家族や他人とともに戦うスコットに対し、他人とのつながりを信用せず機械と表情のない兵士に囲まれたカーン。この二人のあり方からもそのテーマが変わらないことが伺えます。

 劇中カーンが言う通り、あまりにも「格が違う相手」に対してアントマンファミリーはそれぞれの想いを抱きながら戦うわけですが、ある意外な人物を含めほとんど全員にしっかりと見せ場があるのも良い点だと思います。その分、おなじみのムショ仲間たちなど、そもそも出番がないキャラクターがいるのは少し残念ですけどね。

 格が違うと言えば、本作は映像のスケールの格も前作からアップしているのも特徴といえますね。量子世界の宇宙は映像として「スターウォーズ」シリーズからの影響を受けているそうで、確かにこれまでのMCU宇宙やその住民とは雰囲気が違うものがありはするのですが、明確な差別化は十分に行われていないようにも思われ、その点少し勿体ないですね。

 おそらく多くの人が感じたであろう「なぜフェーズ5のスタートがアントマン?なのか」という疑問。私も同じ疑問を持っていましたが、本作を見終わるとその疑念は氷解しました。アントマンだからこそカーンと拳を交わして戦うに相応しい、待望のフェーズ5堂々の開幕です。