白熊のヨゥ

ブレット・トレインの白熊のヨゥのレビュー・感想・評価

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)
4.5
 日本の小説をハリウッド実写化した本作は、強烈な日本描写のインパクトが一見強いのですが、誇張というより日本の文化や雰囲気を上手く汲み上げ象徴的に描いているという印象で、計算の上でそれが行われているように感じられます。

 実際に物語が進みだすと、個性豊かなキャラクター、テンポよく軽妙な会話とアクション、そして幾つかの謎のおかげで退屈しませんし、知る限り、伊坂幸太郎作品の良い所をしっかりと受け継いでいるように感じました。

 一方でアイコニックな日本描写や濃すぎるキャラクターたちはアルコールのように強烈で、ややご都合主義な展開や、小説と比較してどうしても説明が不足してしまうこともあり、ずっと見ていると胃もたれ気味になってしまうかもしれません。

 ただ、それを見越すように展開に一捻りを加えたり、おそらくこのジャンルのファンなら驚くようなカメオもあり、と飽きさせない工夫もよく凝らしてありました。合う合わないはあると思いますが、このケレン味たっぷりな「NIPPON」を体験をできるのは日本人だけと考えると貴重な一作だと思います。2022年に見た映画の中でもかなりお気に入りの一作です。