MasaichiYaguchi

鬼手のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

鬼手(2019年製作の映画)
3.6
「ヒカルの碁」のファンだったので打ち方やルールが分かる程には初歩的知識は持っていて、暇な時に囲碁プラウザゲームをしたりするが、本来頭脳戦で「静」のイメージが強い囲碁の対戦を血湧き肉踊る「動」の作品にしたのは如何にも韓国映画という感じがする。
両親が無く、姉だけが身内だった主人公グィスにとって、姉を死に追いやった囲碁は復讐の象徴であり、そして天涯孤独な彼が厳しい世の中を生き抜くよすがでもある。
大海に放り出された木っ端のようなグィスを拾った師との出会いにより、彼の修羅の道への歩みが始まる。
この作品は主人公の復讐劇と言えると思うが、その最終標的の“ラスボス”に至るまで様々な対戦相手が登場する。
そのキャラクターは恰も少年ジャンプに登場しそうな程に個性的で、彼らとの対戦も夫々ユニークな場所で繰り広げられる。
タイトルの「鬼手」とは、囲碁用語で「相手の意表を突いて、肺腑をえぐる鋭い手」を意味していて、果たしてグィスは数々の強敵を倒し、ラスボスの肺腑をえぐることが出来るのか?
マッチョな肉体でグィスを演じたクォン・サンウの魅力もさることながら、彼とタッグを組むトン役のキム・ヒウォンの人間味、可笑し味が殺伐した作品を救っていると思う。