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ブラックアダムのシネラーのレビュー・感想・評価

ブラックアダム(2022年製作の映画)
4.0
『シャザム!』を再鑑賞したところで、
DCEU最新作である本作を劇場鑑賞。
頭を空っぽにして、
圧倒的な力を誇るアンチヒーローに
惚れ惚れする映画で良かった。

物語としては、
破壊神ブラックアダムが5000年の眠り
から現代に目覚め、
それを危険視するヒーローチームJSA
(ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカ)
と対立していく内容となっている。
シャザムのヴィランである
ブラックアダムを主役とした
アンチヒーロー映画であり、
王道なヒーローチームであるJSAとの
対比的な描かれ方がされている事で、
そのヒーローからは逸脱した
言動が際立っていると思った。
物語の舞台が軍事支配の国家である為、
虐げられている民衆が
ブラックアダムを支持する一方、
JSAのヒーロー達を罵っているのも
現代的な面白味があって良かった。
又、そのアクション場面も
敵視点での描かれ方が度々あるだけに、
そのブラックアダムの圧倒的な力を
より痛感させられる描き方だった。
加えて、スローモーションによる
絵面が多用される為、
どこかザック・スナイダーを感じさせる
DC映画のようでもあった。
いずれにしても、
ドウェイン・ジョンソンの屈強な体格が
ブラックアダムのキャラと見事に合致し、
正に適役でしかなかった。
そのブラックアダムと対峙する
JSAの面々も個性派揃いであり、
リーダーのホークマン、
ベテラン魔術師のドクター・フェイト、
若手ヒーローの
サイクロンとアトム・スマッシャー
という面子の活躍と性格も
しっかり描かれていて良かった。
そして、エンドクレジットにおける
彼の登場が久しぶりなだけに嬉しかった。

不満点としては、
本作におけるヴィランに関してだ。
一応、ブラックアダムとJSAの
共通のヴィランが登場するのだが、
その目的や人物の背景は薄っぺらく、
戦闘もCG感が強いだけに残念だった。
又、JSAのメンバーそれぞれが
良いキャラクターだっただけに、
ホークマンとドクター・フェイトの
交流はもっと描いて欲しかった。

単独作品としての面白味が大いにあり、
今後の展開にも期待してしまう
良い骨太なDC映画だった。
今後のシリーズ展開に胸が高鳴る一方、
シリーズの方向性が製作側で
また右往左往しているのを聞くが、
いい加減に筋を通して欲しいものだ。
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