「おいおい、真面目かよ」
思わず呟きたくなる程、とことん真っ直ぐ
で真摯な作風に驚かされた。
高校生が戦国時代にタイムスリップすると
いう有り勝ちとはいえ奇抜な設定を考慮す
るとここまで誠実な仕上がりは予想外だ。
鑑賞前はつかみ所の無いタイトル、主役級
の有名俳優が出てはいるがどこか漂うチー
プなB級感からスルーも考えた。
思い切って劇場に足を運んだものの冒頭か
らいきなり高校生が殺戮の嵐に遭う。銃で
は無く刀で斬り殺され鮮血が飛び散る様は
極めて生々しく思わず目を背けたくなる。
人が大勢死んでいるのにあまりにも悲惨す
ぎて涙も出ない。
ここまでたくさんの人達が一方的に殺され
る作品は戦争映画以外では見たことがない。
いやでもこれが戦争の実態なんだ。罪もな
い人々が虐殺されるケースは今も絶えるこ
とが無く世界各地で続いている。
戦国時代とはいえ襲われた高校生からすれ
ば敵兵はただのテロリストに過ぎない。こ
れは対テロ戦争の物語。
「俺の屍を越えていけ」
「ここは俺が守るからお前は先に行け」
仲間を思いやる友情と死屍累々の光景が重
なり気付いたらもう涙の洪水が起こり止め
どもなく続いた(T_T)
ヘタレだったマッケン演じる主人公が仲間
の死と共に徐々にリーダーとしての責任感
に目覚めてゆく様は感動的だ。ベタな展開
だけどやはり胸を打たれる。
「必ずみんな一緒に未来へ帰る」
覚悟を決めて一心に剣を振るって鍛錬する
場面はどこまでも美しく眩い。
人には持って生まれた運命がある。
どうしても為さねばならぬことがある。
逆境の時に人は真価を問われる。
ここまで胸を熱くさせてくれる作品だとは
思いもよらなかった。
ああ、これは、私がどうしようもなく好き
な映画だ。