やすやす

ブレイブ 群青戦記のやすやすのレビュー・感想・評価

ブレイブ 群青戦記(2021年製作の映画)
4.4
「おいおい、真面目かよ」
思わず呟きたくなる程、とことん真っ直ぐ
で真摯な作風に驚かされた。
高校生が戦国時代にタイムスリップすると
いう有り勝ちとはいえ奇抜な設定を考慮す
るとここまで誠実な仕上がりは予想外だ。

鑑賞前はつかみ所の無いタイトル、主役級
の有名俳優が出てはいるがどこか漂うチー
プなB級感からスルーも考えた。
思い切って劇場に足を運んだものの冒頭か
らいきなり高校生が殺戮の嵐に遭う。銃で
は無く刀で斬り殺され鮮血が飛び散る様は
極めて生々しく思わず目を背けたくなる。
人が大勢死んでいるのにあまりにも悲惨す
ぎて涙も出ない。
ここまでたくさんの人達が一方的に殺され
る作品は戦争映画以外では見たことがない。
いやでもこれが戦争の実態なんだ。罪もな
い人々が虐殺されるケースは今も絶えるこ
とが無く世界各地で続いている。
戦国時代とはいえ襲われた高校生からすれ
ば敵兵はただのテロリストに過ぎない。こ
れは対テロ戦争の物語。

「俺の屍を越えていけ」
「ここは俺が守るからお前は先に行け」
仲間を思いやる友情と死屍累々の光景が重
なり気付いたらもう涙の洪水が起こり止め
どもなく続いた(T_T)

ヘタレだったマッケン演じる主人公が仲間
の死と共に徐々にリーダーとしての責任感
に目覚めてゆく様は感動的だ。ベタな展開
だけどやはり胸を打たれる。
「必ずみんな一緒に未来へ帰る」
覚悟を決めて一心に剣を振るって鍛錬する
場面はどこまでも美しく眩い。

人には持って生まれた運命がある。
どうしても為さねばならぬことがある。

逆境の時に人は真価を問われる。

ここまで胸を熱くさせてくれる作品だとは
思いもよらなかった。
ああ、これは、私がどうしようもなく好き
な映画だ。
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