TaichiShiraishi

フード・ラック!食運のTaichiShiraishiのネタバレレビュー・内容・結末

フード・ラック!食運(2020年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

予想外にいい映画だった。それは寺門ジモンに映画的センスが思ったよりある、ということもあるかもしれないが、それ以上に「何を描きたいのか」ガチガチに最初から決まっていたからだろう。

単に映画監督をやってみたいからとファッション感覚で手を出すほかの芸人や文化人とはわけが違う。

芸能界一と言われる食通によるゆるぎなき料理とそれを作ってくれるプロへの感謝、丁寧に思いのこもった料理は人と人とのきずなも強めてくれるという確信のもとに作られているのが、別に普段それ穂と食通でもなければ寺門ジモンの動向を追っているわけでもない人間にも十二分に伝わってきた。

もちろん「なんじゃこりゃ」と言いたくなる奇妙な演出や、つじつまの合わない部分もあるのだが、それには目をつぶりたくなるような熱量が確かにある。

そして自身も焼肉通というNAOTOの真剣に肉を焼く姿と、その肉を心底美味しそうに頬張る土屋太鳳の名演は本作とは切っても切り離せない。終始登場人物が何かを食いまくっている映画というのは新人監督にはなかなか段取りも難しいはずだが、料理もしっかり美味そうに撮った上においしそうなリアクションの数々も収めているのは素直にすごい。

そしてその美味しさへのリアクションが、そのまま食への感謝、作ってくれた人への感謝、母への感謝とつながり、わざとらしくなく母子のドラマに通じているのも巧い作りだと思う。

ただ、コロナ禍で第3波も来ている状況でこんな飯テロを見せられるのはつらいかも。

なんにせよ芸人の監督作としてはだいぶ良くできている部類の映画なのは間違いない。
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