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星の子のdeadcalmのネタバレレビュー・内容・結末

星の子(2020年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

よく言われることだが、新興宗教やカルトにはまった人たちを「救い出す()」にあたって、教義の妥当性や事実性を論点にする(雑に言えば「トンデモですよ」と指摘する方向)というのはだいたい本質とずれている。当人が人生を幸福に生きられるなら、他者に害を与えない範囲内で鰯の頭でも空飛ぶスパゲッティモンスターでも信じれば良い。

主人公一家はとても家庭の仲が良く、余計な干渉さえなければ別段なんの問題もないといえば、ない(いや客観的にはあるんだけど、本人たちが問題と思ってないので、ない)。一人は家を出てしまうが、それでも互いにとって最善の選択肢を取った結果と納得しているようで互いに悪感情はない様子で描かれる。
そして周囲がどう言おうと、家族の絆は本物であることはラストシーンで何となく美しく描かれる。ここだけ見るときれいな終わり方で、宗教二世の苦悩を描きつつも、「今のままでも私は大丈夫」と両親に寄り添い続ける姿勢を肯定している。

やさしい。やさしいが、問題は何も解決していない。たとえば主人公一家が明らかに経済的搾取に遭っているという信仰云々とはまったく別次元の問題を完全に放置している。本当に何ひとつ解決していない。それでええんか?デリケートな問題だからって腰引けすぎなんちゃうか?というモヤモヤでいっぱいに。

芦田愛菜・蒔田彩珠の演技は良かった。
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