めんたいこ

ジョゼと虎と魚たちのめんたいこのレビュー・感想・評価

ジョゼと虎と魚たち(2020年製作の映画)
4.0
アニメって難しいね。

ラブストーリー映画で僕が最も好きな作品(そもそもラブストーリーはほとんど見ないんだけど)、ジョゼと虎と魚たちのアニメ化ということでずっと躊躇していた本作。アマプラの無料配信が終わるということで重い腰を持ち上げて拝見した。

総じて実写映画の持っていたいびつな魅力が漂泊され、凡作になってしまったという印象を持った。

そもそも本作の「ジョゼ」というヒロインは有り体に言えば性格が悪く、視聴者に共感を得にくいタイプのキャラクターだと思う。彼女の根底にある魅力がにじみ出てくる経過も、「そうはならんやろ」というある種のファンタジーを拭えないまま徐々に入ってくる、そんな語り口の作品だったと思う。

実写映画という入力変換装置が比較的少ないフォーマットでも没入感が少ない作風に対して、そこにアニメという手法が介在してしまうとよりコストが高くなり、画面の美しさとキャラクターの醜悪さ(その醜悪さは本作においては必要不可欠なものなんだけど)の対比でキャラクターへの興味関心が削がれて行ってしまうと思われた。

本作ではストーリーテリングとしても「生と性」という匂い立つような生々しさが生理的嫌悪感とともに重要なファクターになっていると思うが、そこがアニメ版では全く感じなくなってしまっている。

ある種の「キツさ」が本作を本作たらしめる大きな魅力となっているのだが、アニメ化されたことで奪われたものが多かったのではなかろうか。
当然アニメになると全てキャラクターの生々しさが失われるわけではけっしてないので、これは脚本・演出・美術の問題ではなかろうか。

さて、人間の身勝手さや醜さ、他社との関わりを拒絶しながら繋がりたいと願うわがままさ。それらをうまく落とし込んだ傑作アニメ作品も存在する。「とらドラ!」って作品なんですけど。

僕はお腹いっぱいなので二度と見返したくないが、未見の方はオススメです!(オススメか?)