Inagaquilala

プロミシング・ヤング・ウーマンのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

4.1
アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演女優賞など5部門にノミネートされた評価の高い作品。日本での公開はアカデミー賞の後になったが、なかなか現代的テーマを捉えたクオリティの高い作品だ。話題としては、Netflix配信の「ザ・クラウン」でチャールズ皇太子の妻カミラ夫人役を演じたエメラルド・フェネルが、自ら執筆したオリジナル脚本で、監督も努めた作品であるということもクローズアップされるが、作品としても、これが長編映画監督第1作とは思えない、隅々まで配慮された映像は実によくできている。

普段は平凡な生活を送っている主人公の女性が、夜になるともう1人の自分に変身して、男たちに復讐を企てるという物語で、いささかバッドエンドと言えなくもないが、最後は胸の支えが降りるような、少しばかり驚く展開が待ち受けている。感心したのは、前述のように、映像設計がしっかりしていることだ。映画の何たるかを心得た演出は、本人が役者として演じるなかで培ってきたものかもしれないが、すでに映画監督をその時点で志していたのかもしれない。それほど細部までよくできいる作品である。主人公を演じるキャリー・マリガンが、やはり主演女優にノミネートされただけあって、見事な演技を披露している。「プロミシング・ヤング・ウーマン」というのは、未来を約束された若い女性という意味だが、多少は反語的な使われ方もしているのか。
Inagaquilala

Inagaquilala