すごいすごいすごいすごい。
最後の最後の10分までまぁ胸糞悪いんだけど、最後の音楽で救われる不思議な映画・・・ここまで胸糞悪ければ、、(この映画はちょっとでも書いたら全部ネタバレですね)
ここからネタバレあり
最初の胸糞の悪さが、Ryanが糞男ってバレるところ。
いい人だって思わせておいてガツーンと観客を陥れてくれるところも最高。あちゃーと、「もう登場人物♂誰も信じられない」と落とさせ、そして最後のスケジュールされたメッセー&音楽で雪崩のエンディング
それよりもこれよりも、キャリーミリガン。すごいな。
寒がってる小動物感がこの映画をとても真摯なものにしている。
今はドロップ・アウトしてコーヒーショップの店員しているけど、医学部時代の大親友が酒酔いレイプされそれを苦に自殺してしまい、その報復のために、夜な夜な主人公が酔ったふりをし声をかけてきた男に復讐している。。ということが最初の30分ぐらいで所々のセリフも入れだんだん輪郭が見えてくる。。という導入ね。
しかし、カッサンドラ(キャリーミリガン)の家のインテリアの悪趣味なことが最高にいい。彼女の勤めてるコーヒーショップのポップなところも、しかもコーヒーショップの同僚(オーナー)がオレンジ・イズ・ニュー・ブラックのトランス姉さん(いつもこんな役)
しかし、キャリーミリガンの変装最高だなぁ。
バットマンの恋人のハーレー・クインかと思っちゃったよ。
この看護婦さんはKILLBILLのダリル・ハンナに並ぶ圧巻。車ででていくときから、覚悟は決めている。
しかし、キャリーミリガンといえばいつもショートヘアのブルネットのイメージなのに、金髪でタバコは吸わないけどいつもチューインガムを噛んでいるこの蓮っ葉な感じ。。よく出してたなぁ。でも彼女はいつも寂しそうな目をしているのね。なんだか、人を惹き付ける。同じハーレー・クインでもマーゴット・ロビーがやると完全に陽の女優さんなんだけど、キャリーミリガンは陰キャ。というか、影が見える。
普通なら家族が叫び合いになりそうな緊張、ほぼ家族崩壊家庭、圧のきついママ、趣味の悪いサロン、お姫様のお部屋ベット、、すべてがたまらなく早くでていきたい家なのに30歳になってもまだ家にいるカッサンドラ。
一方若手の医師として道を歩きだしているRyanのお部屋はモダンでものも少なく整っている。彼はもう先に歩いているがカッサンドラはまだまだ趣味の悪いお母さんの家で住んでいる。
あと、エリート男特に医師たちのあの傲慢さもすごいリアリティあった。またカッサンドラの圧のすごい母が持ち上げるものだから余計に。。あの時は分からなかったけど、あとで分かるよね・・私も母親だから結構ああゆうことお世辞で言っちゃうことあるんだよね。うちも言われるし。めっちゃリアリティあったわ。
このコントラストがやっぱり切ない。あとセリフに何回もでてくるけど、酒を飲んだら女がアウト。。みたいな風潮ってほんとうにこの5年前まで普通にあった。2023年の常識ではアウトだけどほんの数年前まで女性は何も声を上げられなかった。
特に印象的に好きなシーンは、
車で「ねーちゃん」って煽られたら、おっさんの車をバギバキに壊しまくりにいくとこ
薬屋で踊る幸せそうな瞬間
自分は絶対飲まないようにジンジャエールとシャンパーニュを一緒に頼んで相手にだ飲ませるテクニック
ほんとうに、ありがとう。こういう映画がでてきたことを私は嬉しく思う。私達の世代ができなかったことを今の世代の女性がしてくれていることに本当に心強く思うよ。
キャリーミリガンって『She Said』の演技もかっこよかったけどやっぱりこのちょっと田舎っぽいお姉ちゃんの痩せた看護婦さんコスプレイは最高かも。
『バービー』よりも感情移入しやすくて
『ジョーカー』なんだけど女の怒りで
『She Said』よりも特権的じゃなくて
それでいてポップなんだよね。。。
そして最後の最後の絵文字のウインク。。キャリーミリガンの笑ったときの目がなくなってしまうあの線にみえる。彼女の優しい目はこの女優のチャームポイント
ストーリーとしては悲しいのだけど音楽の入れ方のタイミングで明るく終わってしまう不思議な映画。
酔っ払ってるからレイプしてもいい。。
なんていう甘い男性の考えが過去のものとなりますように。