Habby中野

百万ドルの明星 陽気な天国のHabby中野のネタバレレビュー・内容・結末

3.4

このレビューはネタバレを含みます

名のある作曲家に見出されはるばる上京したらそいつは偽物で話は白紙、お情けのオーディションを受けたら一緒に来た妹が合格しスターになる。夜の歓楽街でトボトボと流しを続ける歌手の男。友人の女が勢いで歌うとそちらが盛況。男は大事な大事なギターをへし折り(厳密には女が店から出ると雨の中立ちすくむ男の足下に壊れたギターが、すでに転がっている……)、全てを諦め田舎へ帰る。この虚しさ。哀しさ。抗えなさ。人生じゃないかと思う。
映画の白眉はその詮無さにコントラストの輝きを放つ、当時の歌番組スペシャル版みたい豪華な歌唱シーンの数々。紅白歌合戦のようなステージングがとても楽しく、物語の薄暗さをより影にする。「こんなベッピン見たことない」が秀逸。
ラストは、冒頭と同じく埠頭で歌う歌手の男、が海へ落っこちてケロッと終わる。些細なことのようでいて、このケロッとさはとても大事なことだと思う。
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