Habby中野

特別編 響け!ユーフォニアム アンサンブルコンテストのHabby中野のネタバレレビュー・内容・結末

3.4

このレビューはネタバレを含みます

黒沢ともよの演技と声質、その真骨頂。
これまで群像の凝固に弾き出されていたような位置から、そのまま前に立つ久美子。群像の中に置くには少し異質なように感じていたそのくぐもった、透明とは言いがたい質の彼女の声と不安定さが、しかしその場にあって本物の魅力を解放した。かすかに震えるような、戸惑いの残る発声と不安と葛藤あふれる、揺れた振る舞いが他の誰とも違う、唯一無二の誰よりも人間らしいものであることが、前に出ることで強く示される。
同時に物語は小編成をそれぞれが自分の意思で組むという、群像たちの立ち上がりも描く。これまで描かれなかった人物たちの意思、そして名前。主人公の(再)誕生と主人公以外全員の命名。この逆ベクトルの張り合いが、あらゆる細部を描こうとする『ユーフォ』の真髄に至っている。
そして結末部分の静止画&テロップによる外的処理と主人公たちの敗北という終わり方は、これが始まりだということを高らかに告げている。ようやく3期を見ることができる、楽しみ。
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