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劇場版ポケットモンスター ココのnagaoKAshunPEiのレビュー・感想・評価

3.0
ポケモンは「仲間」から「家族」へ。

ポケモンに育てられた少年ココを軸に、自然(ポケモン)VS文明(人間)のテーマを展開しながら、子離れを経験する親の物語に昇華させていく。
ポケモンに育てられたことで、自分のルーツとアイデンティティに悩み、「自分は何物なんだ」と葛藤するココの姿は、劇場版ポケモン第1作目のミュウツーを見ているかのようだ。ミュウツーの逆襲から逆転させて、人間のアイデンティティに迫ることが原点回帰をしているとも見れる。
しかしながら、「自然対文明」の構図や自らのアイデンティティへの葛藤といった部分は、既存の作品ほど深みに至っていなかったように思う。
それでも本作は、ポケモンという作品の新機軸を打ち出した一本だと思っている。それは、ポケモンは「仲間」であり人間と共存する生物だということを強調しているからだ。
『みんなの物語』と『ココ』の矢嶋監督が打ち出すポケモンは、これまでポケモンが持つイメージ(育ててバトル)を一新させていく。現に、『みんなの物語』と『ココ』では、人間がポケモン同士をバトルさせる描写がほぼない。さらにはサトシがモンスターボールから手持ちのポケモンを出し入れする描写すらないのだ。これは、ポケモンを所有したり使役したりする道具ではないという矢嶋監督ならではのポケモンの世界観なのだろう。
そして遂には、ポケモンは仲間を通り越して「家族」へとなっていく。
ポケモンと人間の境界線がシームレスになっていくことで、その関係性がより色濃くなっていく。次回作がどんなふうになっていくのかとても楽しみ。
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