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劇場版ポケットモンスター ココのKHのレビュー・感想・評価

3.9
新年も始まり、今年も年間ノルマ60本を掲げ、その記念すべき一本目が何になるのかと楽しみにしてましたが、
まさか冬休みの娘とポケモンを見に行くとは思いもよりませんでした。

途中娘のトイレ等で中座することも覚悟してましたが、そこはやはり俺の娘と言うのか、親バカですが、最後まで眠ることなく見続け、最後には感動の涙を流していたのには思わず別の意味でもらい泣きしそうになりました。

ということで、劇場版ポケットモンスター ココ。率直な感想をば述べさせていただきたいと思います。


これぞ、ターザン、ジャングルブックの完成系と言うのか。
正直、この手のシナリオでは完璧な作品と言えます。

そもそも今作は、所謂、ターザンやジャングルブックのように、
人間ではない動物に育てられた少年の成長を描いているのだが、

ターザンではジャングルに来たゴリラの研究者一団の一人、ジェーンという女性との愛により成長していきます。

また、ジャングルブックでは、狼に育てられたモーグリが、黒豹や熊との友情により成長していきます。

そこへいって今作ココは育ての親である父ちゃんザルードとの親子愛により成長していくことになるのだが、

今言ったように、恋愛、友情、そして家族愛と、ベースは同じでも成長のきっかけをどこへ持ってくるのかにより、こうも作品の内容が変わるのかと思わせてくれました。

また、先に述べた通り、私にも娘、また産まれたばかりの息子もおり、この作品が先に述べたターザンやジャングルブックよりも刺さるのは当然と言えば当然です。

そしてこれは完全に個人的な意見ですが、実は私、小学校の頃から今現在もポケモンをやり続けている稀有な人間なため、ポケモン自体に対する偏見や前述がない状態で視聴しても全く問題のない点。いや、むしろ評価に対しては加点にしかならないと言えます。


さらにここからはネタバレを含む感想になりますので、まだ見てない方は劇場に行って、ついでに劇場版特典である父ちゃんザルードのシリアルコードをもらってきて頂くとして、



まず作品冒頭、ジャングルにて他のポケモンと縄張り争いをしている今作のオリジナルポケモンザルードが現れる。見た目は先に述べたターザンの育ての親のゴリラ、そしてジャングルブックに出てきそうな黒豹を足して2で割ったような感じだ。この辺からも完全にオマージュを意識してると言うか、むしろリスペクトしてるとさえ思える。

そんなザルードの群れの一人が、赤ん坊を見つける。

ザルードは途中無視しようとしたが、不思議な天啓を感じ、群れに連れて帰ることに、しかし、
ザルードの群れには厳しい掟があり、他種族と関わること、集落に他種族を入れることを禁じており、ザルードは掟を守り、自ら集落から去り赤子を育てる決心をしたのだ。

ザルードたちに厳しい掟がある理由には、集落のある御神木、またそこから湧き出る泉を守っており、それが侵されるとジャングル自体が崩壊してしまうと考えているようで、

傷ついた他のポケモンを泉に連れて行き、傷を癒そうとしたココは、ザルード達にひどく折檻を受けることとなる。

かつては伝説のポケモンであるセレビィの姿を幾度となく見たが、最近ではほとんどその姿を見せなくなっている。

そこへ、本作の本来である主人公であるサトシとココが出会う。
それにより、ココは自身がザルードではなく人間だと言うこと、また、本当の両親を探す方向へ話が進む、
今回の映画で最も評価できる点は、主人公であるサトシが今作ではココと人間を繋ぐ装置として実に機能していた点。
ポケモンと人間との友情を既に確立しているココにとって成長するきっかけとなったことによりしっかり主人公としても脇役としても良い機能を果たしたと言えます。

また、ココの本当の両親はジャングル及び、泉の研究を行っている一団の所長をしていたが、既に死亡しており、研究はゼットという山寺宏一に引き継がれている。おそらく今回のヴィラン的なポジションなのだろうとすぐわかる。

山ちゃんポケモン映画のかなりの功労者なんだからそろそろ良い役与えてあげてほしいと思うほどに、今作の中で唯一と言って良いほどの悪役である。
泉の研究をザルードの縄張りという事で断念したココの両親を事故に見立てて殺害?したのだ。

さらにココに発信機を装着して御神木の位置を割り出してからは破壊を具現化したような大型の掘削機のようなメカでジャングルを蹂躙していく、
ザルード達では歯が立たないので、父ちゃんザルードが他種族のポケモンに助けてほしいと懇願、ジャングルの未来を賭けたクライマックスへと進む。
話のテンポは予想できてはいたが非常にダレず、ここまであっとゆーまでした。

なんとか巨大メカを破壊し、ザルード達、他のポケモン、そして人間たちは和解し、それこそがこのジャングルの本来のあり方なのだとザルード長老が気づく。

そしてラストは外の世界へ、人間とポケモンとの掛橋に俺はなると旅に出るココを粋に送り出すザルード父ちゃん、

そんな父ちゃんの元へ、セレビィが現れ、ザルードに赤子を拾わせた天啓はかつてこのジャングルへ来ていたセレビィのが未来を見越して使わせたというところで、
『前(のジャングル)よりちったーマシになったろ?』

と言ったところでエンディングです。まぁかなり端折りましたが、大まかな道筋はこんな感じです。

ジャングルが再生するにはザルードだけではダメだった点、
ココと父ちゃんザルード、またサトシやジャングルに住むポケモンたち、また研究者達人間全てがしっかりと機能して初めて真のジャングルとなるという良いエンディングでした。

既視感のある設定にもかかわらず、子供から見たらココ目線に、
また子供を連れてくる親としては父ちゃんザルード目線に変わる点、
大きくなって子供を持ったら娘にももう一度見てもらいたいと感じました。
今回は映像美や、音楽について特に触れませんでしたが、声優陣も優秀ですし、音楽も良かったです。
文句なしの作品です。オススメです。
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