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るろうに剣心 最終章 The Beginningのこどものレビュー・感想・評価

3.5
これはなんというか、始まりの物語であり番外編、シリーズのエクストラコンテンツのような立ち位置かなと。
しかし佐藤健を含め制作陣はこの追憶編こそを創りたいと思っていたようである。十分とは言えないが、顛末は「The Final」でも触れられた始まりの物語に、2時間30分の長尺をもってくるのは些か贅沢だと感じてしまう自分がいる。だがしかし、彼等はそれが許されるだけの大変な仕事をしてきたのだ。彼等の思う様に締め括られた物語の終わりをスクリーンで観られたのは、シリーズのファンとしてとても嬉しかった。

ただ、やはりこれが単発の映画だったとしたら、満足度は低かったであろう。当たり前といえば当たり前なのかもしれないが、るろ剣のファン、シリーズを通して見てきた人でなければ、本作は面白くないのではないだろうか。私個人の意見だが、本シリーズの面白さは、やはり卓越したアクションシーンに大きく依存していると思う。そして本作は、シリーズの中でも「ドラマパート」に当たるポジションだといえる。そして肝心のドラマパートのクオリティが決して高いものではないと感じる。2時間30分の長尺の割には薄味かつ、時間経過に伴うキャラクターの心情変化があまり上手く描ききれなかったように思えた。
もしこれが本当に一作目として世に送り出されていたら、このシリーズはここまで跳ねなかっただろう。だから「The Beginning」なのに、これをトュルーエンディングとしたのかと思うと、少し胸に支えるものがある。

先程本作はドラマパートだと書いたが、アクションシーンが無いわけでは全くなく、人斬り時代の剣心の殺陣は圧巻だった。特に序盤の剣を口に銜えた状態での大立ち回りは『メタルギアソリッド』の雷電を思わせるスタイリッシュさだ。斉藤さんの牙突の威力が高すぎて家がぶち壊れたシーンは吹き出してしまったし、沖田総司役の虹郎くんがちっちゃすぎて桃太郎にしか見えなかったもの面白かった。

個人的にはシリーズ最高傑作とはならなかったものの、エンディング前のシークエンスはファンを無限ループに嵌めるだけの破壊力を持っているし、描かなくてはならない、しかし盛り上がりにどこか欠けてしまう本パートを上手く纏めたなとは思う。
さ、個人的最高傑作の『伝説の最期編』を見返そうかな。
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