にょいりん

生きちゃったのにょいりんのネタバレレビュー・内容・結末

生きちゃった(2020年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

予告編を観て、その熱量を感じて観にいったけど、がっかりした。

ストーリー展開、セリフ、すべてが稚拙。
意味ありげで何か言ってそうな情景描写も脈略がなく、心にも刺さらない。現代日本人は気持ちを言葉にできない、というメッセージを繰り返し表現する為のとってつけたような展開が本当につまらない。
役者陣の演技に熱量を感じても上手く噛み合わず空回りしている。

そんな中、これをやりたいが為に作ったんだろうな、って思うラストシーンは役者の演技が振り切れていて、ちょっと笑えるぐらいの力強さがあって良かった。

加えて、主人公の友人(武田)の立ち位置に、この映画ならではの特殊性があって面白かった。主人公は感情を押し殺して言うべき事が言えない人間なので、映画を観ている観客はそれを感じ取りにくいのだけど、それを武田が随所で主人公に問いただし、観客に伝わるようにしてくれる。不倫されて別れた妻の事を本当に好きだったのか?なぜ好きなのか?とか。そして、ラスト、主人公を見守るというよりは傍観し続けた彼が、自らもボロ泣きしながら主人公を奮い立たせ、今から感情を爆発させようとする姿を見送りながら、最後の最後で「やっぱ、オレ見れない」ってなったのが声をだしそうなぐらい笑えた。
我々は興味本位な観客でしかない。