【フランチェスカの魔法の踵】
時間が合ったので行きました。映画としては予想通りの期待外れ。バレエの生舞台は、映画に不向きなのはわかっていた。
それでも、フランチェスカ・ヘイワードがポワントを始めると、地上数センチ浮き足立つだけでふわり、と別世界に連れて行かれる。彼女の舞いだけは本当に見応えありました。そこだけに絞った版でよかったくらい。
映画は映像記録でしかなく、ダンサーが放つ“気”までは留められない。そして、生舞台にはカット割りもカメラワークも存在しない。やっぱりそれらが、バレエを邪魔していた。
映像も、もっと幻想虚構の光を立てればいいのに、自然光頼りなのか、かえってビンボくさい。
その影響大?で、フランチェスカがイタリア良家の娘でなく、東南アジア貧民街の元気娘に見える。そっちの魅力には溢れているのだが、ジュリエットって、それでよかったっけ?
彼女はほぼノーメイクらしいが、やはり表情の発し方が、少なくとも映画女優のそれではなく硬いんですよね。時にコワイ。
…逆に、これなら猫人間似合うかも?と変態映画の評判を聞く『キャッツ』を今さら、劇場行く気になりましたが、間に合うかどうか…。
終盤は、出血量ゼロのアルジェント映画みたいでした。どうせなら、アルジェント監督に演出して欲しかった。結局は血祭りなのだから。
フランチェスカのパフォーマンスを大画面で見られたことは大収穫。それ以外はう~ん。ロミジュリは素材としてよくなかったのでは?
個人的に、ロイヤルバレエの演目を映画化するなら、同じフランチェスカ主演でぜひ『不思議の国のアリス』を希望!
2013年の来日公演行きましたが嵌りまして、ソフト化された映像版もよかった。…ロミジュリの何倍、制作費かかるかわからないけれど…。
http://youtu.be/CXONhMCk4Wk
<2020.3.10記>