てっぺい

耳をすませばのてっぺいのレビュー・感想・評価

耳をすませば(2022年製作の映画)
3.5
【耳をすます映画】
全員善人な安心感の優しい映画。アニメのなぞりにニヤつきながら、あの名言を巧みに活かしたラストが胸熱。細かい音の演出にも“耳をすまして”注目したい。

◆トリビア
○松坂桃李は左利きだが、聖司の役作りのために右利きで演技している。(https://screenonline.jp/_ct/17571855/p2)
○松坂桃李は本作でチェロ、前作の「あの頃。」でベーシスト役で、どちらも根気を詰めて楽器を練習しており、本音は「しばらく音楽ものはいい」。(https://screenonline.jp/_ct/17571855/p3)
〇清野菜名は、殺し屋(「キングダム2」)に警察の音楽隊員(「異動辞令は音楽隊!」)、漫画の中の女の子(「今日から俺は!!劇場版」)と異色のキャラが続き、本音は「もうちょっと普通の、等身大の役もやってみたい」。(https://www.chunichi.co.jp/article/562275)
○山田裕貴は、内田理央から俳優人生で一番頭を叩かれた。(https://mdpr.jp/cinema/detail/3404893)
○ 愛知県の愛・地球博記念公園に開園する「ジブリパーク」内に、地球屋とロータリー広場が再現される。(https://eiga.com/amp/news/20220826/25/)
○劇中登場のバロンを再現したフィギュアが予約販売される。原型制作は本編のバロン人形を手掛けた人形師によるもの。(https://movies.shochiku.co.jp/mimisuma-movie/news/baronfigure/)
○地球屋の外観は千葉県佐倉市にある佐倉マナーハウス。内観はセット。(https://screenonline.jp/_ct/17571855/p4)
〇イタリアのシーンは、和歌山県にあるテーマパーク「ポルトヨーロッパ」で撮影。聖司が暮らすイタリアの街並みを完全再現した。(https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1665627812)
○アニメ版の監督は、98年に解離性大動脈瘤で亡くなった。(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/近藤喜文)
○中学生時代の聖司を演じた中川翼は、松坂桃李に雰囲気が似ているとよく言われる。(https://www.astage-ent.com/cinema/mimisuma-15.html)
○映画公開日の10月14日は、清野菜名の誕生日。(https://twitter.com/mimisuma_movie/status/1580695331280683009)

◆概要
原作漫画とアニメ映画で描かれた中学時代の物語に加え、主人公2人が大人になった10年後をオリジナルストーリーで描く。
【原作】
柊あおい「耳をすませば」
【監督・脚本】
「約束のネバーランド」平川雄一朗
【出演】
松坂桃李、清野菜名、山田裕貴、内田理央、安原琉那、中川翼、荒木飛羽、住友沙来、音尾琢真、松本まりか、中田圭祐、小林隆、森口瑤子、田中圭、近藤正臣
【主題歌】
杏「翼をください」
【公開】2022年10月14日
【上映時間】115分

◆ストーリー
読書好きな中学生・月島雫は、図書貸出カードでよく名前を見かけていた天沢聖司と最悪の出会いを果たす。しかし雫は聖司に大きな夢があることを知り、次第に彼にひかれていく。そんな聖司に背中を押され自身も夢を持つようになる雫だったが、聖司は夢をかなえるためイタリアへ渡ることに。2人は離れ離れになってもそれぞれの夢を追い、10年後に再会することを誓い合う。それから10年が過ぎた1999年。出版社で働きながら夢を追い続ける雫は、イタリアで奮闘する聖司を想うことで自分を奮い立たせていたが……。


◆以下ネタバレ


◆物語
ストーリーそのものは、雫と聖司の過去と10年後が美しく交差しながら、雫が前へと進んでいく成長物語。雫がブラック出版社で叩かれながら、葛藤し、でも前へと進む彼女の原動力は、仲間の支えや地球屋の存在、そして聖司との思い出。“全員善人”(上司を除いて)な安心感に包まれながら、雫が大きな決断を下し、それが聖司の大きな決断に繋がり、“心の音”を取り戻す。映画全体が優しさで包まれたような作品だった。

◆原作とアニメ
ムーンにいざなわれて地球屋に辿り着く雫。杉村の“俺じゃダメか”。クラスメイトが殺到する屋上シーン、そしてエンドロール。良し悪しは置いといて、なぞられるアニメ版のシーンにはニヤリ。ただし聖司は本作では原作設定の画家でもなく、アニメ版のバイオリニストでもなく、チェロ奏者。つまり本作は原作とアニメとそれぞれのいいとこ取りを目指す構成な訳で、その出色はラスト。アニメ版オリジナルの聖司の求婚が、10年後の本作でのそれとして活かされた展開がとても胸熱。松坂桃李の凛とした表情と、清野菜名のくしゃくしゃな笑顔がとても素敵だった。

◆耳をすませば
聖司の祖父が雫に伝えた“心の音”を聞く方法。まさに“耳をすませば”聞こえてくるその音は、本作では水が落ちる映像表現に。聖司も雫も10年で失ってしまっていたその心の音が、2人の心が繋がるラストでまた聞こえてくる分かりやすい構成もいい。思えば、裁断やワイングラスの音など、場面転換で印象的に使われていた本作の音。雫が不本意な修正を作家に依頼する時には、心の音としてコーヒードリップの濁った音が付けられるなど、細かい演出にもニヤリ。実はあのぽちゃんという音は水が落ちる映像以外にも、雫の心が動く時にこっそり入っているそうで(https://screenonline.jp/_ct/17571855/p4)、次回はもっと“耳をすまして”鑑賞したい。

◆関連作品
〇「耳をすませば」(’95)
アニメ版。今でも色あせない、夢とファンタジーの純愛物語。配信情報なし。
〇「ツナグ」(’12)
本作同様、平川雄一朗監督、松坂桃李主演で、松坂桃李にとって初の単独主演作品。プライムビデオ配信中。

◆評価(2022年10月14日現在)
Filmarks:★×2.8
Yahoo!映画:★×2.9
映画.com:★×3.6

引用元
https://eiga.com/amp/movie/92503/
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/耳をすませば
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