てるる

パピチャ 未来へのランウェイのてるるのレビュー・感想・評価

4.0
観たのは先週だけど、9割方レビューを書き上げた後に消してしまってしばらく放置してました…😅

アルジェリアってどこにある?と聞かれてもアフリカのどこかとしか言えない。
驚いたのはイスラム教国だったこと。

でも映画の時代設定である1990年代までは、そんなに厳格な戒律とかでは無かったらしい。

ヒジャブで顔を覆っている女性もちらほらいるけど、普通の格好をしている人も多い。

この映画の主人公ネジュマや友達に至っては夜な夜な女子寮を抜け出してはクラブへ繰り出してる。

しかしその頃からイスラム武装勢力が台頭してきて、1991年から「暗黒の10年と呼ばれる」内線が始まろうとしていた。

事前に重いという話は聞いていたので覚悟はしていた。

それでも衝撃を受けたシーンなどもあって、危うく「えっ!」て声出しそうになった。
隣のおじいちゃんは普通に「あれれ」て声出てたし。

男どもは総じてクズ多し。
映像から受け取る情報だけでは、最初はイスラム教といっても緩いのかなと思った。

でも状況が悪化していくうち、男達の本音が露出し始めると最悪。
結局のところ激しい男尊女卑。

無理やり手篭めにしようとするクズやDVカス野郎、表向きは理解あるふりして心の底では女性を下に見てる腹黒野郎まで。

そして男だけじゃなくて女性が女性の自由を弾圧してたこと。
これが盲信と言われるやつで質が悪いし怖い。

そんな中でも青春を謳歌しようとする女の子達の逞しさや瑞々しさは救い。
「裸足の季節」なんかを思い出した。

歴史的な背景とか、社会情勢はあまり説明がないので日本人にとっては分かりづらさはある。

逆に言えば、観てる側も当時の若者達と同じ気持ちを味わえる。

どこの国でも若者たちは目の前の恋愛や夢に精一杯。

テレビやラジオから漏れ聞こえてくるニュースで不穏な空気は感じていたはずだけど、どこか対岸の火事のような気持ちで。

でも不幸や戦争はある日突然降りかかる。
状況は急激に悪化する。

映画観てから調べたけど、本来はアルジェリア政府軍とイスラム武装勢力との戦いだった。
しかし早くからイスラム勢力は民間人を標的にしたり、邪魔なジャーナリストを何十人と暗殺してたらしい。

そんな中でもラストには微かに希望が見えた。
その希望が今のアルジェリアに繋がっているんだろう。
てるる

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