コーディー

パピチャ 未来へのランウェイのコーディーのレビュー・感想・評価

3.9
ドレスに身を包む事が彼女達の武器なき抵抗。

内戦時のアルジェリア、イスラム原理主義による理想が女性を抑圧し続ける中、髪を隠さず奔放に自分らしさを貫く大学生ネジュマ。夜遊びも夢も妥協せず命懸けで未来を見据える姿、彼女の憤りと不屈の信念が胸に迫る。

女性への黒いヴェールの強要がファッションデザイナーを夢見るネジュマにとって耐え難い自由の剥奪、闘う理由になる。時には夜遊びや恋愛でさえ〝支配〟と隣り合わせの発狂しそうな現実、様々な困難に心削られながらも友人らと寄り添い善き未来を拓こうとする。想像を絶する覚悟と輝く生気に圧倒された。

保守的なのは何も男性だけではなく同じ女性でも信心深く伝統を重んじる人々もいる。ただこの映画が描く〝暗黒の90年代〟の常軌を逸した光景は酷いし観てて本当に辛い。監督の実体験も含まれてるみたいやけど、主人公ネジュマが喪失を繰り返しながらも頑なにアルジェリアに留まろうとしてたのが印象的。