lapin2004

あの頃。のlapin2004のレビュー・感想・評価

あの頃。(2021年製作の映画)
3.5
原作も映画の公開も知らずにネット記事であらすじを知り、その日のうちに上映館を探して引き寄せられるように鑑賞してしまいました。漠然とした夢と将来の不安を抱えながら就職せずにバイト生活に明け暮れた経験がある男性なら、きっと刺さる部分があるでしょう。アイドルオタではありませんでしたが私には刺さりました。

作品としてはモヤモヤが残るところもあり。個性的な仲間たちそれぞれの「その後」がもう少し知りたかった(ロビとか西野とか)。展開的にコズミンにフォーカスするのは分かるけど、エンディングまであれだと自伝(劔視点)としても群像劇としてもバランスに欠ける。

アイドルオタクに嫌悪感を隠さない女子大生、20年後の自分、劔の隣で涙ながらに卒業公演を観た女教師、ストーカーのくだり、どれも伏線・エピソードとして扱うならしっかり扱うか、いっそ省略すべきだったのでは。今泉監督の作風や「史実」もあろうが、意味ありげで結果的に大した意味を感じさせない要素たち。この中途半端なところもモヤモヤ感の一因か。上手くすれば青春映画の傑作になり得る題材だったと思うのでちょっと残念、というか勿体ない。
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