lapin2004

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバーのlapin2004のネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

2D吹替にて鑑賞。

まずはオープニングで涙。アフリカ系女性たちが中心となって話が進行する今までのアメコミヒーロー作品には無かった展開で、ストーリーも単純な勧善懲悪とはならない。従来のヒーロー物映画にない感触で先が読めない緊張感で物語に引き込まれる。事前情報を完全にシャットアウトしていたこともありネイモアの登場には大興奮。アメコミファンとして作品を堪能して映画館を出たが、帰宅してあらためて考えてみるといろいろ思うところもあり。以下雑感。

⬛︎新登場ネイモアの暴れっぷりに爽快感。『アベンジャーズ』(2012年)でラファロ版ハルクが大暴れしたのを彷彿とさせる。陸海空で戦えて一国の軍団を統べる王というなかなかの強キャラで今後の活躍が楽しみ。反面主人公のプラックパンサーのアクションには物足りなさを感じる。ダメージを吸収してドッカーンと倍返しするあの技をもっと見たかった。あるいはシュリ版パンサー独自の戦い方とか。怒りと復讐に取り憑かれたのであれば、引くくらい怖い暴れっぷりを見せ付けてもよかったのでは。

⬛︎なんというかキャラクターの心の機微がうまく描けていない印象。この作品でのラモンダは国連の場で襲撃犯を突き出し「やるならやったんぞコラ」と啖呵を切ったり、シュリを守れなかったオコエに自らが家族を次々に失いどれほど悲しいかをぶち撒けて解任したりしているが、いずれも国王亡き今毅然と振る舞わねば…というよりは情が前面に出ちゃう人という印象を受ける。シュリが最後にネイモアに止めを刺そうとする場面。ラモンダが脳裏に浮かび思い留まるが、どうにもしっくりこない。本作品のラモンダの言動からすると「陛下は戦争を望んではいない」というエムバクのセリフはとってつけたもののように思える。やはりここは亡きティ・チャラが脳裏によぎり思い留まる、でよかったのでは。

⬛︎リリの登場も唐突な印象。突出した天才というキャラクターを描くための演出が雑というか足りない。19歳の少女がヴィブラニウム探知機であったり、アイアンマン並みのパワードスーツを短期間で作るのは常軌を逸した能力なわけで、こういう人がいまーすという感じで登場してそのまま話が進行していくとついていけない。在りし日のトニー・スタークがその才能に驚き特別奨学金を与えたとか、アークリアクターの原理を説明した、みたいなエピソードがあってもよかったのでは。


満足度の高さの割にネガティブな意見が多くなったのは吹替が個人的にしっくりこなかったことにもよるかも知れない。ラモンダは口調が作り過ぎでクドく感じた。シュリは前作から役の重要度が大きく変わったこともあり、前作では気にならなかったが本作では声の(演技の)軽さが気になった。サブタイトルでもある決め台詞「ワカンダフォーエバー!」にカタルシスを感じられなかった。

もう一度字幕で観よう。
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