このレビューはネタバレを含みます
原作未読。
必要最小限のセリフと抑制された演出だが、物語が進行する(事件・サプライズが起こる)テンポが良く、伏線の回収が丁寧で、徐々に物語に引き込まれていった。
現実の出来事にチェーホフの舞台の内容が被さり、車内で亡き妻との対話になるというシチュエーションが秀逸。個人的には、手話を言語として生きるユナの「伝えたいことが伝わらないのは私にとっては普通のこと」というセリフが刺さった。
ラストは理解できず、鑑賞後モヤっとした気持ちに。後から解説・考察の記事を読んで自分なりに理解したけど、3時間近く丁寧に描いてきただけに、このラストは唐突な印象。余白とか行間ってのは分かるけど、エンタメ作品ばかり観ている自分には厳しかったです。舞台を観終えたみさきが初めて少し微笑んだ…完、みたいに分かりやすく終わって欲しかった。まあそんなヘボ演出じゃカンヌは獲れませんがね!