カンパッチー

おらおらでひとりいぐものカンパッチーのレビュー・感想・評価

おらおらでひとりいぐも(2020年製作の映画)
3.6
この映画ってすげぇよな、最後まで田中裕子たっぷりだもん!というぐらい田中裕子出ずっぱり。大豆田とわ子の3人の元夫ももしかしたら田中裕子のこの3人のように妄想なんじゃないか?とひたすら自分を肯定してくれる3人の存在にそんな考えが浮かんでしまいました。

OPのアニメーションな原始時代からその後の脳内会話のファンタジックさに度肝を抜かれたけど、その後は1人の高齢者のひたすらリアルな人生の回顧録です。

何か起こるのかなぁと思ってもひたすらファンタジックな脳内会話以外はリアルな人生が続いていきます。そらそうですよね、なにか毎日ドラマがあるわけないんですよ。現実ってそういうものだと思います。しかし、もし脳内3人が画面に居なければとことん暗いというか淡々とした作品になってしまうんだなぁ。宮藤官九郎の笑顔に癒されます。

桃子が脳内で語った自分の人生は「何もなかった」「ちゃんと生きたか」「大事なのは愛より自由だ、自立だ」とても共感しました。誰もが子や孫に囲まれて幸せな状況ではなく、いずれ一人になるわけで、でも桃子のように脳内だとしても自分を肯定してくれるというのは力強いですよね。どんな形でも寂しさを受け入れて孤独と向き合えるというのは幸せなことだなぁ。
1人で踊っていても、それを素直に受け取ってくれる孫娘も優しい。自分のこれからとか色々考えてしまいました。

家族と疎遠になっていることや、仲の良かった元同僚は?というのは小説を読んだらわかるのかな?

岡山天音くんの「遠くの子どもより近くのホンダ」というセリフがなんかすごくツボりました。
田中裕子の可愛さと蒼井優の可愛らしさに大満足でした。