のこ

モロッコ、彼女たちの朝ののこのレビュー・感想・評価

モロッコ、彼女たちの朝(2019年製作の映画)
4.5
予告編で観たモロッコのパン!
とっても美味しそうで~

小さなパン屋を営むアブラ(ルブナ・アザバル)と
路上にいた妊娠中のサミア(ニスリン・エラディ)との出会い~
二人がどう関わって行くのか
その先が観たくて! とても楽しみに鑑賞!

ところが~終わってエレベーター内で
一人の高齢の女性が
あやふやなラストで困った!困った!と~
そうです~w
あやふやでなく はっきりしてほしかったと主人もw
いろいろ想像できるラストで 
中身の濃い内容をしっかり見て!!
それぞれが思う結論で~いい作品でした😊

北アフリカのモロッコ カサブランカ旧市街を舞台に~
私はエジプトは行ったことがあって
同じイスラム圏~
飛行機の中から空港~そしてホテルのエレベーターの中までも独特の匂い 香油? 空気感~雰囲気~少し別世界
何と言っても 女性たちの献身的な姿に驚きでした。
頭に黒ベールを被った女性たちがトイレ掃除を空港や観光施設で 手を洗ったらすぐにどうぞ~とペーパーを
用意して待っている~まるでお客様扱い😊
また一人が済んだらすぐにモップで清掃する~
こういう公の所での待遇は初めてで
この社会では男性が一番で~女性は身分が低いとすぐに
分かりました。

この映画の要が家父長制が強く残るモロッコ~
弱い立場の女性が 家長なしで女手一人で生活していくにはとても大変なことと~
イスラム社会では未婚の母はタブー
(モロッコは戒律が厳しく 刑法では婚前交渉や未婚の妊娠、そして望まぬ妊娠の中絶は禁止)

美容師の仕事も住居も失ってしまったサミアを 
アブラは社会の目もあって堂々と助けることはできず~
それでも見て見ぬふりができないアブラは
自分の良心に従って~
自分ができる範囲で彼女を助けて行く~

一方サミアは臨月になるまでに たくさんの辛いこと苦しいこと乗り越えて来ただけあって~
かなり開放的だけど 苦労しただけ人の痛みもわかるサミア~
夫を亡くして、いつもどこか暗く心閉ざしているアブラ
一人でパン屋を切りもして 良い母でいるために
娘に対してもしっかり教育もして 
強く生きているアブラだけど~

亡くなった夫に操を立てるために 大好きだった歌を聞くのを封印してきたアブラ~
サミアはアブラの心の傷を解放したくて
このテープをかけるんですね~
この辺りの二人のぶつかり合い~
正面から辛い過去 傷に立ち向かって行くシーン
この後のお化粧をして~アブラの変化は~
再生されて行く姿に感動でした😊

臨月のサミアは産んだ子供をどうするかまで
決心してますが~
生まれた子をサミアの母性がどういう結論にさせるか~?
あやふやなラストですが~
見応えたっぷりで 困ります^^:

ご興味ある方はご覧ください。
あとパン屋の娘のワルダちゃんのくりくりした可愛い目
サミアとアブラの中を上手く取り持って~
中でもモロッコの伝統のパンケーキ「ルジザ」を祖母に教わったと
サミアがワルダちゃんに教えながら作るシーンは見もの😊

イスラムの社会~
女性の身分の低さ~すぐには変わらない現実と思いますがこういう作品を通して現状を知ってもらう
世界に発信できて~
第92回アカデミー賞国際長編映画賞のモロッコ代表作品に選ばれて良かったですね!✨
のこ

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