takanoひねもすのたり

ポゼッサーのtakanoひねもすのたりのネタバレレビュー・内容・結末

ポゼッサー(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

血飛沫とち〇こ。

近未来。殺人請負企業に所属している暗殺者のタシャ。彼女達の暗殺法は、ターゲットに近しい人間の意識をハックして(対象者を拉致して脳みそにマシンを仕込む必要がある、ミッション自体は大掛かりではある)人格を乗っ取り暗殺が成功した後はハックした人間を自殺に追い込み、タシャはその人格から離脱する。
新たなミッションで相手の人格へダイブしたタシャに、人格内である狂いが生じる。

・タシャ→人格憑依からの離脱に『口に銃を突っ込んで自殺する』必要があるのだけれど、劇中では一度も実行できず(躊躇うのは何故?)
・憑依中のターゲット殺害方法は刺殺。めった刺し、執拗なくらい刺す。目玉も刺す。
・頭蓋骨に刺す注射器≒人を刺す行為(隠喩)
・元夫とのセック〇中に刺殺の感触を回想。
・憑依した相手は男性。性器を確かめる、下着の汚れに触れる。
・憑依した状態で彼の妻とのセックス、身体性と性指向の混線/逆にハックされた男もタシャの回想から直近のセックスが蘇る(性自認の混乱)
・ターゲットを殺したのはタシャ(多分)
・タシャの元夫と子供を殺したのもタシャ(多分)

ミッション完遂後の自己認識テストが、認知症のテストに似ているけれど、赤い蝶……ロールシャッハテストのメジャーなインクの染みの形っぽくもあり(それに答えるエピソードもちょい意味ありげ)

刺すという行為に、普段は潜んでいた性指向と衝動がそれにより一瞬解放されるのと同時に、銃を咥え(ちん〇)自殺するのを躊躇う理由は、その辺なのかなと勝手に思ったり。

憑依されたコリンがタシャから人格の主導権を取り銃の引き金を引こうとする時は、こめかみに銃口をあてているという自殺手段の違い。

撮影と編集が前作と同じ、カリム・ハッセンとマシュー・ハンナム。
憑依する幻覚的なシーンは、恐らく彼らの技術の高さと、監督との密な(仲良しらしい)関係の良さと連携の功績だと思う。
この3人のバランスで次作も作って欲しい。

ブランドン監督、血の趣味がとても良い。
血飛沫や床に広がる血の池の形まで、計算されたように美しい……そういえば前作の『アンチヴァイラル』でも吐血した血の染みや、唇から滴る血もきれいだった。

追記。
今回のミッション(元旦那、子供への仕込み)の準備は多分以前より整えられていて今回実行したってことかも知れない。
眼鏡の女性が言う「(タシャの)一本の線」の意味が殺人への罪悪感なら、それが解消されたってことかな……。
タシャから『罪悪感』が消えたってことか。