竜どん

ポゼッサーの竜どんのレビュー・感想・評価

ポゼッサー(2020年製作の映画)
3.8
偉(異)大な親父の影響を受けつつも、自らの美意識と拘りで世界観を作り出している息子クローネンバーグに好感。
意識乗っ取りというプロットは数多存在するし宿主の乗っ取り側への逆襲もありがち展開ではあるが、端々に挿み込まれる幻覚やフラッシュバック・繰り返す思考テストで積み重ねられる鬱々とした不穏感は他作品には無いモノ。
タシャとコリン途中でどちらの意識が主導権を握っているか分からなくなる程に渾然とした複雑怪奇な意識領域の視覚的表現と構成的演出は見事。別人格の意識だけでなく両者自身の「イド(自我)」と「理性」のせめぎ合いをも感じ背筋がゾクゾク。ともすればチープになりかねないCGを多用しないアナロギーな描写は逆にスタイリッシュ。
「刺す」「突く」銃器によらない原始的な凶器による多分にグロい惨殺シーンが多いが、あくまで静謐にドライに淡々と描かれるので嫌悪感は薄い。出血流血過多がイキ過ぎてて良いね。美しい…
「ただいま」
最愛だった筈の家族の顛末は中々にショッキング。
タシャの帰りたい場所は果たして何処だったのだろう?
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