竜平

ポゼッサーの竜平のレビュー・感想・評価

ポゼッサー(2020年製作の映画)
3.7
何やら他人の意識に入り込み人格を乗っ取り、その状態で暗殺を遂行していく工作員の女性。やがて与えられる新たな任務の最中、意識の境界線が狂い始める。なんとも恐ろしい設定で魅せるスリラー映画。

まず初っ端から結構グロくてショッキング、なもんで苦手な人は覚悟しとくべし。主演がアンドレア・ライズボローで、個人的には彼女見たさで鑑賞したみたいなとこもあったり。共演にはジェニファー・ジェイソン・リーやショーン・ビーン、あと『ファースト・マン』にも出てたクリストファー・アボットなど。そもそも他人の中に入り込むという、でそっくりそのまま意識を乗っ取るという非人道的なやり口、これが恐怖感を煽る。いかにも悪党のそれを主人公側が、しかも悪を成敗するというよりかは仕事として、秘密工作としてやってるあたりも、ね。また要所要所で独特な映像演出も光る。映写機で見るような意識の中の世界、そして夢の中のような思考の断片、これらが更に狂気じみてるもんで不安感をも煽ってくる。他人として日常を数日過ごしていく中でその人自身のパーソナルな部分も見えたりして、それでも行き着く先は「殺人」なもんで、ここらへん考えれば考えるほどに頭がおかしくなりそうだし、実際に登場人物たちはおかしくなっていくしで、とにかく見入ってしまう。またその都度描写がしっかりエグい。刺殺系の生々しいやつ。残虐描写が苦手な身としては思わず目を背けてしまうところもしばしば。見入ってしまうけど、目を背けてしまう、ってゆー。

とにかくずっと雰囲気がどんよりしてて暗くて、これはあまり見たことないタイプの映画だなと。興味を引くストーリーに、敢えて説明を省いてるような、考察できる余地を残してるあたりも含めて、他の残虐系や難解系よりも面白みを感じれた、というところ。あと映像面での面白さ、芸術点にも拍手。まぁしかし直視できなかったけども。弱トラウマ映画ってことで。
竜平

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