えむ

アンティークの祝祭のえむのレビュー・感想・評価

アンティークの祝祭(2019年製作の映画)
3.4
是枝監督の「真実」で久しぶりに観たカトリーヌ・ドヌーヴが結構良い感じだったので、wowowで放映していたこちらも鑑賞。

ある朝突然に「今日は私の人生の最期の日だ」と思った一人暮らし、認知症も少し入った主人公が、家の中に溢れる家財道具(かなりのアンティークや美術装飾品コレクター)をガレージセールで売り払って、人生の断捨離を始める物語。

その中で、過去の家族とのいざこざやすれ違いなども描かれるし、疎遠だった娘もやってきます。

娘とのすれ違いや確執とかは「真実」と同じ感じなんだけど、こちらは現在と過去が行ったり来たりするだけでなく、認知症の入った主人公の妄想も入ってくるので、なんだかごちゃっとして複雑です。
どこまでは真実で、どこからが妄想なのか。
このごちゃっとした感じが、お屋敷の中のやけに物に溢れたごちゃっと感と通じるので、彼女という人がそもそも記憶でも想いでも、なんでも「溜め込む」人なのかなとも思えます。

認知とか年老いていくこととか終活とか、やはり題材の物語は切なさが募りますね。
これから年老いていく時に出会っていくだろう気持ち分かるし、それを観ている娘世代の気持ちもわかる。
でも、この話の場合は娘のお友達の方が移入できたかな。
確かに問題を抱えて当たりの強いお母さんだったろうけど、娘は娘で、ちょっと想いやりが足りない気もするし。
お母さんがその歳になった年齢なら、昔のお母さんの辛さも少しわかるようになってるもんじゃなかろうか、と個人的には思ってしまうかも。

ラストはなかなかの衝撃です。
え、そんなになるの???いくらなんでもあそこまでならないのでは・・・

どちらかというと同じ年老いた母と娘の物語でも、「真実」の方がより心を丁寧に描いていて、こちらの方がある種の悲哀、悲劇という色合いが強い印象です。


いやー、それにしても物が多くてごちゃついていても、ヨーロッパのお屋敷だとお洒落に見えるから不思議。
えむ

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