たいてぃー

MOTHER マザーのたいてぃーのレビュー・感想・評価

MOTHER マザー(2020年製作の映画)
3.7
大森監督作品ってことで鑑賞。これまで衝撃的作品が多いが、主演長澤まさみであれば、それほどでもないんじゃない、とも思ったが、やっぱりキツい。後でわかったが、実際の事件に触発されて大森監督が企画したとのこと。共同で脚本も担当している。過去作の「ぼっちゃん」を思い出した。これも相当衝撃的というか悲惨だったね。そして、本作の製作は「新聞記者」等のスターサンズ。温和なわけがないわ。
この母と息子の関係が微妙すぎて、わかりにくい。これだけ情報を与えたから、あとは観客自身が考えてくれって、ことかな。
息子の周平が10才の時(郡司翔が演じる、あんな役やって大丈夫だった?)、別れた父親(大西信満)に金をせびりに行くが、父親の「父さんのところにくるか」に対し、「母さんがいい」。所謂、少年の母親愛かな?とも思ったが。成長後に煽動されて事件を起こしても、「母さんのことが好き」。なんだろうね、この感覚は?そして母親の秋子(長澤まさみ)は、「周平は分身、舐めるように育ててきた」、うーん。
この秋子の行動を、叱責するのが、周平が勤め出した職場の社長(荒巻全紀)。この叱る言葉が、我々観客の気持ちを代弁してて、一瞬のカタルシス。でも、この社長も秋子の毒牙にハマって。若い頃のシーンで、ラブホで働いてる男(仲野太賀)も同様にハマってたし。秋子の内縁夫のリョウ(阿部サダヲ)は、周平に「お前の母さんは、いい女だよ」。単なる性欲からではなく、なんらかの魅力があるんだろう。ファムファタールって言葉が浮かんだけど、そうでもない。純で無垢なとこが父性愛をくすぐるのか。息子の周平も同じような想いだったのだろうか?周平を助けようとする、児童相談所勤めの女性(夏帆)も登場するが、いかにも凡庸。周平は秋子を選択する。
秋子役の長澤まさみ、新境地で間違いない。女優根性を垣間見た。他の役者では、祖母役の木野花。「愛しのアイリーン」も強烈だったが、本作の狂気ぶりもこの上ない。そして、成長した周平役の奥平大兼。本作がデビュー作とのこと。難役をこなしていて、感心した。期待できそう。