いずみたつや

フォーリング 50年間の想い出のいずみたつやのレビュー・感想・評価

4.0
旧世代と現世代の価値観の平行線ぶりを嫌というほど徹底的に見せる。単純な「愛」や「赦し」はない。それがヴィゴ・モーテンセンの実体験に基づいた正直な思いなんだろうと思います。

ビショップ役でお馴染みのランス・ヘンリクセンが素晴らしい演技を見せています。認知症を患い、口を開けば差別と偏見にまみれた罵詈雑言。家族が食卓を囲むシーンの不快さは見ていて心底つらくなりました。

どうしようもない父親と激しく衝突し合った末に、都合の良いドラマチックな変化を押しつけることはせず、ありのままの中に垣間見える彼が生きた証(良いものも悪いものも含め)を見せることで人の生き死にについて考える余地を残したところが良いと思いました。