ポール

ファーザーのポールのネタバレレビュー・内容・結末

ファーザー(2020年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

混乱し迷路を彷徨う当事者の辛さ、苛立ち
面倒をみる家族やその近い関係の人たちの辛さ、苛立ち

介護の経験はないが祖父母や
これまで会話をした年配の方々
アンソニーの仕草や様子の全てが
よく知っていた光景だった

あの時のあの人たちの混乱した様子や
寂しそうな目や孤独を知って涙が止まらなかった

今どこにいて何をしているのか
腕時計を見て時を把握する
それだけで孤独な自分は少しは落ち着くと思う

娘と笑い合ったり、感謝の言葉を述べたり
アンの涙を拭ったりする父としての優しさ
日々忘れることが多くなり混乱している一方で
まだいるアンソニーの中の父としての在り方にも涙

最後は胸が辛くなる子供返り
キャサリンが優しい介護士でよかった

高齢化が進んでいる日本
自分も同じくらい歳を取ってから理解するのでは遅い
現代の人に観て欲しい一本
これを観るだけでどれほど歩み寄れるか

歳をとるまで理解し得なかった感情を何十年も早く
残酷なまでに疑似体験させてくれたこの作品と
アンソニー・ホプキンスの名演技に感謝し、拍手を贈りたい
ポール

ポール