ガンビー教授

ライムライトのガンビー教授のレビュー・感想・評価

ライムライト(1952年製作の映画)
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喜劇王の称号にふさわしい、必ず爆笑をかっさらっていくあのチャップリンが、これほど笑えない映画を(あえて)撮ったのだというところが悲しすぎる。笑えない老い暮れの喜劇役者が主人公だから、笑えないのは当然なのだが、それだけではなく、ギャグのかわりに理屈っぽすぎる言葉が並ぶ。

イーストウッドが『グラン・トリノ』を撮ったように、役者兼監督という立ち位置の人は、フィルモグラフィのどこかで自分の葬式を挙げてしまうのだろうか?

どこか、躁鬱の気がある映画に感じられる。執念を感じさせる笑みでこちら(画面=観客)に迫ってくるチャップリンの顔が印象に残る。

キートンが登場したりするところなんかは嬉しいけども、バックステージものというジャンル自体、ちょっと冷静には見ていられない(ほど好きな)僕としては、心がかき乱される1本だった。
ガンビー教授

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